マンションを売却するときに必要となる書類は、売却までの流れでも異なってきますが、必要な書類は、売買契約時や名義変更などの機会ごとに不動産業者から指示されます。その指示を聞いてから揃えても問題はありません。また自分で揃えることができなくても、不動産業者に代わりに準備をしてもらえる書類も多いです。
マンション売却時に必要となる書類
書類は事前に準備しておくと、慌てずにすみます。公的な書類は役所で発行されることがほとんどで、日中の昼間しか準備ができないものもあるため面倒なことも多いです。
マンションの売却では、査定から物件の名義変更まで多くの書類が必要となります。必要な書類は物件の種類で多少の異なりはありますが、だいたい似たようなものです。
法務局(登記所)により交付される書類
不動産売買には登記が必須となります。登記には法務局、いわゆる登記所が交付する書類が多く必要です。不動産取引の公正のため、登記上の記録がされている登記簿は誰でも閲覧や取得ができます。
登記簿謄本(登記事項証明書)
不動産情報や権利関係が記載され、各地にある登記所で取得できます。登記簿で管理されているなら登記簿謄本、電子化が進んでいるなら登記事項証明書で取得します。
登記簿謄本には、不動産の権利関係、建物の床面積・土地面積が記載されています。あらゆる面で重要となる書類です。土地と建物では異なる不動産物件として扱われ、それぞれ登記されるため土地・建物双方の登記簿謄本が必要です。
登記済権利証・登記識別情報
不動産の登記完了により、登記名義人に交付される書類です。不動産物件を取得したときに所有権の登記が行われます。その際に、所有者が登記所交付の書類を受け取るので、必然的に所有者しか持っていません。「権利書」や「権利証」と呼ばれています。
登記済権利証は、登記簿で管理が行われるか、登記識別情報として情報が電子化されています。再発行ができない書類のためとても重要ですが、書類を持っていることで所有権が主張できる訳ではありません。
所有権の登記を行った本人である証明でしかありません。そのため紛失しても所有権が失われることはなく、所有者として本人確認が行われることが重要です。
マンションの所有者が保有している書類
マンションの権利者であるなら、持っていて当然の書類です。必ず書類が必要となるとは限りませんが、不動産業者に必要と言われる場合がありますので準備をしておいてください。
管理組合規約・使用細則
マンションの管理組合で定められた管理組合規約・使用細則は、所有者の全員が冊子として配布されています。管理組合規約・使用細則が手元にない場合であっても、管理組合の組合員なら閲覧ができますのでコピーで対応しましょう。
査定時に必須の書類ではありませんが、マンションの制限として伝えなければいけない内容が書かれています。マンションのルールも判らない状態でマンションを購入するのは誰でも抵抗があります。そのため売却時には重要な書類です。
マンションの維持費に関する書類
マンションの所有には、管理費や修繕積立金などが必要となります。購入者にとって欠かせない情報となりますから、金額がわかる書類の準備が必要です。査定時に必要とされることは少ないですが、売り出しまでに揃えておくと良いでしょう。
固定資産税納税通知書・課税明細書
毎年1月1日の時点で不動産物件の所有者は、毎年5月以降に、固定資産税と都市計画税の納税通知書と課税明細書が送られてきます。対象不動産物件となる固定資産税評価額や税額が記載されています。物件の査定・登録免許税の税額などの価格を出すために利用されます。納税義務のある不動産物件の所有者のみが持っている書類です。
情報としては評価額と税額がわかれば十分とされるため、紛失していても「固定資産評価証明書」「固定資産公課証明書」で代用できます。
間取り図・パンフレット・広告
必須ではありませんが、建物を取得した際に間取り図が掲載されたパンフレット・広告があれば提出しましょう。売買広告に必要な情報として有用です。
不動産取得時の契約書・重要事項説明書
売買契約書・建築工事請負契約書・重要事項説明書は、不動産物件を購入したときに不動産業者により作成されています。売買契約の当事者と、仲介を行った不動産業者が持ち合わせている書類です。重要事項説明書には、購入者に説明する物件状況が記載されているため重要です。
預貯金口座情報
手付金も含む売却代金の振込先情報として必要となる場合があります。不動産は高額取引なため、ローンの返済が無い場合は振込により授受されます。
ローン残高証明書
売却物件に対して、ローンが残っている場合に必要となる書類です。借り入れている金融機関に発行を依頼しましょう。返済予定表を代わりとして利用できます。
本人確認等のために使用される書類
不動産物件の売買契約は大きなお金が動きます。当然、本人確認されずに売買が成立することはありません。本人の意思に関係なく契約行為が無効とされることを回避するためです。
本人確認書類
運転免許証、パスポート、住基カードなどです。一般に本人確認で使われる顔写真付きの本人確認書類です。原則としては顔写真付きが望ましいとされますが、健康保険証などで代用できます。
不動産売買契約では、本人確認が必要です。これは、不正取引を防止するための絶対的な条件となります。
実印・印鑑登録証明書
実印は、役所に印鑑登録してある印鑑をいいます。安価な三文判であっても、印鑑を登録しておけば実印として扱われます。逆に、高価な印鑑であっても、役所に登録していない印鑑であれば実印ではありません。不動産物件の売却は、実印を使って書類に押印することが一般的です。
印鑑登録証明書をもって実印が本物であると証明します。印鑑証明は印鑑登録を行った役所に申請することで交付してもらえます。この証明は、発行から3ヵ月以内です。
住民票・戸籍の附票
住民票が必要となるのは、登記簿上の住所と現住所が異なる場合です。登記簿上の住所から現住所に至る住所履歴として住民票の提出を行います。
住民票に有効期限はありません。しかし、必要に応じて提出先が有効期限をもうけています。不動産売却の際は、3ヶ月以内と限定していることが多いです。
また、住民票だけで住所履歴を証明できない場合、戸籍の附票という住所履歴が必要となることがあります。住民票と違って戸籍の附票は本籍地の役所に申請します。
その他の書類
重要な書類ではありますが、必要かどうかは不動産の購入者や不動産業者により異なります。準備を行う前に不動産業者に確認しておくと良いでしょう。
付帯設備および物件状況確認書
付帯設備と物件状況を記載し、買主に報告します。普通は不動産会社が準備しますが、各種付帯設備の有無、物件について知っている瑕疵、つまり不具合を記載します。
告げることで不利になりそうだからと隠しておくと、後々不利になります。売主が瑕疵を隠している場合、購入者が発見すると責任を免れることはできません。
登記とは
不動産売買を行う際に、登記が必要となります。不動産物件である土地と建物の面積・所在・取得年月日・取得原因・物件の権利・所有者の住所・氏名を登記簿に記載します。
登記は一般に公開されています。不動産物件の権利関係が、登記簿を見ることで誰にでも内容がわかります。登記は、取引の安全と円滑をはかるために重要な役割があります。第三者に物件の所有者であることを主張するためです。
不動産物件の所有を主張するものが複数現れた場合、登記簿に登記されている人が、本物の権利者として主張できます。登記を行わない場合、ペナルティーを与えることで権利者の登記が促されます。
実際の権利関係と登記簿の状態が一致されていることが必要です。登記を信頼し取引関係に入ることで、取引の安全が保障されます。
マンションの査定から引き渡しまでに必要な準備はさまざまです。マンションの引き渡しを行うまでに、各種費用の精算準備や引き渡し書類などの準備は多く、時間がかかります。早い段階で書類の準備にかかることで、取引がスムーズになります。不動産業者との媒介契約が確定した際に、準備が必要となる書類を尋ねることが重要です。