相続税・贈与税・譲渡税が課税されない状況と算出方法について

不動産に限らず、財産を相続した場合や贈与した場合、そして譲渡(売却)した場合には、それぞれ税金がかかります。しかし、税金にはさまざまな税制優遇や特例、そして控除額があるので、課税されないこともあります。

今回は、その「課税されない状況」および「算出方法」について解説します。特に、不動産は高額な財産になるので、不動産を相続・贈与・譲渡する場合には、それぞれのルールを知っておきましょう。

相続税について

まずは、相続税について解説します。相続税率や控除額、そして相続税評価額の算出方法などを理解しておきましょう。

相続税の税率と控除額

相続税の税率と控除額は以下のように定められています。

  • 相続税額1,000万円以下:相続税率10%
  • 相続税額3,000万円以下:相続税率15%、控除額50万円
  • 相続税額5,000万円以下:相続税率20%、控除額200万円
  • 相続税額1億円以下:相続税率30%、控除額700万円

もちろん、1億円超の場合にも相続税がかかりますので、詳しくは国税庁ホームページ※1を確認ください。また、基礎控除額として「3,000万円+法定相続人×600万円」になります。

参考:国税庁 相続税

不動産の相続税評価額

不動産の相続税評価額は、路線価を利用して算出されます。路線価とは、接道している道路によって不動産評価額を算出する方法です。路線価図を見れば自分のマンションの路線価を調べることができますが、路線価図の算出方法は複雑です。

たとえば、「300」という道路に接道されている場合には、その土地の1平方メートルあたりの評価は30万円ということになります。つまり、100平方メートルであれば、3,000万円がその土地の相続税評価額です。ただ、接道している道路が複数であったり、角地であったりすれば計算方法は変わります。

また、建物の相続税評価額は固定資産税評価額が適用されます。これは、毎年郵送される固定資産税納税通知書を見れば分かります。ただ、実際に不動産の評価額を調べるときには複雑な点も多いので、税理士に依頼する方法が一番良いでしょう。

参考:路線価図・評価倍率表

相続税の事例

上記を踏まえ、マンションの評価額が1,800万円のマンションの相続税を算出してみます。相続税の計算式は、「1,800万円×15%-50万円=220万円」になります。しかし、上述したように、基礎控除額として「3,000万円+法定相続人×600万円」があります。

つまり、法定相続人が1人であれば3,600万円が控除されるので、そもそもマンション評価額1,800万円が全て控除されます。

相続税が課税されない状況

相続税が課税されない状況は、以下の流れで検証できます。

  • マンションをはじめ相続財産の評価額の算出
  • 基礎控除額と上記の比較

つまり、基礎控除額として「3,000万円+法定相続人×600万円」を計算し、相続財産が基礎控除額以下であれば相続税は課税されません。

贈与税

つづいて、贈与税についてです。贈与税とは、そのままの意味で、不動産をはじめ財産を第三者に贈与したときに発生する税金です。

贈与税の税率と控除額

贈与税の税率と控除額は、通常の贈与と直系尊属(祖父母や父母)によって異なります。また基礎控除が110万円あるので、贈与財産が110万円以下であれば贈与税は課税されません。通常の贈与は以下の税率および控除額です。なお、以下の課税額は基礎控除後の課税額です。

  • 課税額200万円以下:税率10%
  • 課税額300万円以下:税率15%、控除額10万円
  • 課税額400万円以下:税率20%、控除額25万円
  • 課税額600万円以下:税率30%、控除額65万円
  • 課税額1,000万円以下:税率40%、控除額125万円
  • 課税額1,500万円以下:税率45%、控除額175万円
  • 課税額3,000万円以下:税率50%、控除額250万円
  • 課税額3,000万円超:税率55%、控除額400万円

直系尊属(祖父母や父母)の贈与は以下の税率および控除額です。

  • 課税額200万円以下:税率10%
  • 課税額300万円以下:税率15%、控除額10万円
  • 課税額400万円以下:税率20%、控除額30万円
  • 課税額600万円以下:税率30%、控除額90万円
  • 課税額1,000万円以下:税率40%、控除額190万円
  • 課税額1,500万円以下:税率45%、控除額265万円
  • 課税額3,000万円以下:税率50%、控除額415万円
  • 課税額3,000万円超:税率55%、控除額640万円

贈与税が課税されない状況

基礎控除の110万円以外に贈与税が課税されないときは、以下の状況のときです。

  • 夫婦間贈与の特例
  • 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例
夫婦間贈与の特例

夫婦間贈与の特例とは、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できます。ただ、控除条件は「婚姻20年以上」「居住用財産の贈与」などの条件があるので、詳細は国税庁ホームページ※3で確認ください。

参考:国税庁 夫婦間贈与の特例

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例

平成27年1月1日~平成33年12月31日までの間に、直系尊属からの贈与は条件を満たせば非課税枠が増えます。条件とは、以下のような項目になります。

  • 贈与を受ける人と直系尊属の関係である
  • 贈与の年の1月1日時点で20歳以上
  • 住宅の購入や増改築が目的

また、上記のような条件を満たせば、以下のように非課税枠が増えます。

  • 平成28年1月1日~平成32年3月31日の契約:省エネ物件1,200万円、通常700万円
  • 平成32年4月1日~平成33年3月31日の契約:省エネ物件1,000万円、通常500万円
  • 平成33年4月1日~平成33年12月31日の契約:省エネ物件800万円、通常300万円

そのほかの条件などに関しては、国税庁ホームページ※4を確認ください。

参考:国税庁 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

譲渡所得税

さいごに、譲渡所得税に関して解説します。譲渡所得税とは、不動産を売却(譲渡)したときに発生する税金です。

譲渡所得税の税率

譲渡所得税の税率※5は、不動産を売却した年の1月1日時点でその不動産の保有期間が5年超(長期)であるか、5年以下(短期)であるかによって異なります。

  • 長期保有:所得税15%(復興特別所得税2.1%)、住民税5%
  • 短期保有:所得税30%(復興特別所得税2.1%)、住民税9%

復興特別所得税は所得税額に課税されます。

国税庁 譲渡所得税

譲渡所得税が課税されない状況

譲渡所得税が課税されない状況は、以下の2つの状況です。

  • 譲渡所得が0円以下
  • 3,000万円の特別控除が適用される
譲渡所得が0円以下

まず、以下で計算される譲渡所得が0円以下になれば、譲渡所得税はかかりません。当然ながら、譲渡(売却)したときに所得(利益)がなければ税金がかからないということです。

譲渡所得の計算式:(売却価格-売却時にかかった諸費用)-(購入時のマンション価格+購入時にかかった諸費用-減価償却費用)

3,000万円の特別控除が適用される

また、入居用不動産を売却するときに、条件が一致すれば3,000万円の特別控除が利用できます。3,000万円の特別控除とは、譲渡所得を3,000万円控除するという税制優遇になります。つまり、3,000万円の特別控除を適用できれば、譲渡所得が3,000万円までなら非課税になるということです。

参考:国税庁 3,000万円の特別控除

まずは、上述したように税金の税率や控除額を理解しましょう。その上で、基礎控除および税制優遇について確認することです。これらを理解すれば、相続税・贈与税・譲渡所得税が課税されない状況が分かります。