マンションを売却するときには、売却する季節やタイミングにこだわるでしょうか?恐らく、季節やタイミングにこだわる人は少ないと思います。しかし、季節やタイミングによってはマンションが高く売れることがあるので、今回はその点について解説します。
マンションが高く売れるタイミングについて
まず、マンションが高く売れるタイミングを解説します。比較的マンションが高く売れる傾向にあるのは、以下の時期です。
- 冬~春の転勤や転校の時期
- 秋の見学しやすい時期
- 競合物件が少ない
- 割高な新築物件が周辺にある
特に、春や秋といった時期は必ずしも高く売れるとは限りません。ただ、1年の中で需要が増すタイミングはあるので、しっかりチェックしておきましょう。
冬~春の転勤や転校の時期
なぜ春が高く売りやすいかというと、転勤や転校に合わせて家の購入を検討する人が増えるからです。検討者が増えるということは需要が増えるということなので、マンションの売却価格は上がりやすくなります。
特に、1月~2月は年明けのタイミングでもあり、冬に実家に帰省するなどマイホームを購入する気持ちになりやすい時期です。そのため、春に合わせたタイミングはマンションを高く売りやすいと言えるでしょう。
秋の見学しやすい時期
また、秋もマンションが高く売りやすい季節です。その理由は気候にあります。マンションを購入するときは、室内はもちろん、周辺も歩き回ってチェックすることが多いです。
夏の暑い時期や真冬の寒い時期は、外にまで足を運びにくくなります。つまり、秋は気候的に見学しやすい時期なので、マンション検討者が増えるということです。
ほかにも、年末などの忙しい時期を避けて、秋に物件をたくさん見学するという人が増えるという理由があります。いずれにしろ、前項と同じく需要が上がるタイミングとなるため、マンション価格が上がりやすいです。
競合物件が少ない
季節以外の要因でいうと、競合物件の売り出しが少ないタイミングも、マンションが売りやすいです。マンションの購入を検討している人は、「○○駅最寄り」や「○○沿線」、「○○区内」など、ある程度エリアを絞っています。
競合物件が少ないということは、自分の物件が注目されやすいということです。つまり、「競合が少ない=供給が少ない」となり、必然的に需要が上がります。需要が上がればマンション価格が高くなりやすいということです。
割高な新築物件が周辺にある
一方、競合物件に新築物件があったとしても、その物件が割高であれば自分のマンションが高く売れるケースはあります。その理由は以下の通りです。
- 自分の物件が割安に見える
- 新築物件は簡単に価格を下げない
- 新築物件が勝手に集客してくれる
割高な新築物件があると、自分の物件の売却にとっては有利です。しかし、その物件が割高でなければ競合物件が増え、逆に売りにくい状況になります。
自分の物件が割安に見える
まず、新築物件が高いと自分の物件が割安に見えます。仮に、相場価格で売り出しても割安に見えれば、相場価格以上でも成約しやすくなります。そのため、売却過程では、新築物件の価格を比較に出して交渉すると良いです。
新築物件はなかなか価格を下げない
また、新築物件は簡単に価格を下げません。なぜなら、以下のような理由があるからです。
- すでに購入した人からクレームになる
- 価格を下げると全体的に大きな利益損失になる
- 価格を下げるときには社内で大きな調整がいる
まず、価格を下げれば、すでに今の価格で買っている購入者からクレームが入る場合があります。その価格に合わせる義務はありませんが、契約者数が多いとその対応はとても大変です。
また、1戸1戸で見れば数十万円程度の値下げでも、全体的に見れば数千万円、場合によっては数億円という利益損失になり、会社としても決済を取るのが大変です。つまり、割高の新築マンションが分譲されれば、しばらくは割高のまま推移します。
新築物件が勝手に集客してくれる
また、新築物件は一度に何十戸、場合によっては何百戸も販売するので、広告量がとても多いです。チラシなどの紙媒体はもちろん、ネットでもお金をかけて集客してくれるので、そのエリアでマンションを欲しい人が集まります。
そうなると、自然と中古物件にも目が行くので、自分の売却している物件を検討してくれる場合があります。つまり、新築物件があることで、勝手に集客が上がるということです。しかも、その物件が割高であれば、比較対象になっているので自分の物件が安く見えやすくなります。
このように、新築物件があることで集客力が上がり、さらに割高であることによって成約率も上がるというメリットに繋がります。
売る時期を少し待った方がいいケースもある
一方で、売却時期を少し待った方が良いケースもあります。その理由は、「譲渡所得税率が変わる」、「仮住まいになる」という点です。特に、譲渡所得税がかかる場合には、税率が大きく異なるので売却時期には気を付けましょう。
譲渡所得税率が変わる
譲渡所得税とは、マンションを売却したときの利益にかかる税金です。その税率は、マンションの保有が売却した年の1月1日時点で、5年を経過しているかしていないかで異なります。
5年経過している物件の場合
この場合は長期保有と見なされ、以下の税率になります。
- 所得税:15%
- 復興特別所得税:所得税額の2.1%
- 住民税:5%
上記のように、税率が低い長期保有の場合でも、利益に対して20%以上の税率になります。
5年経過していない物件の場合
この場合は長期保有とならないため、以下の税率になります。
- 所得税:30%
- 復興特別所得税:所得税額の2.1%
- 住民税:9%
このように、短期保有の場合は利益の40%近くの高税率です。ただ、「3,000万円の特別控除」があるので、これに適用すれば税金は生じません。譲渡所得税と一緒に、詳しくは国税庁ホームページを確認してください。
※参照URL:国税庁ホームページ 譲渡所得税
長期保有:https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3208.htm
短期保有:https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3211.htm
マイホーム売却時の特例:https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3302.htm
仮住まいになる
仮住まいとは、住む家がなくなり賃貸マンションなどに一時的に移り住むことで、仮住まいするケースは、「買い替え時に先にマンションを売却した」というような場合です。マンションを買い替える場合は、先に自分のマンションを売ってから、新居を購入するケースがあります。
その場合、自分のマンションの決済日には、今住んでいるマンションから出ていかなくてはいけません。そして、新しく購入した家の決済日まではそこに住むことはできないので、賃貸マンションなどに一時的に移り住むことになります。
ただ、仮住まいとなると、引越し作業が必要で、単純に手間も引越し費用もかかってきます。ですが、あえて自分の物件の売却を遅らせて、決済日を購入する物件と合わせることで、仮住まいを解消することができます。もし、遅らせたりできるのであれば、決済日の調整を行いましょう。
マンションを高く売ることができる季節は冬~春と秋です。もし、売却時期を調整できるなら、その時期に合わせた方が売りやすいでしょう。また、競合環境によっても高く売れるタイミングは変わるので、売却を検討していれば、その時期は逃さないでください。