一戸建てや土地の売却はマンションを売るときと同じ手続きでいいの?

一戸建てや土地の売却するときには、マンション売却時と異なる点を理解しておきましょう。マンション売却時と異なる点を理解しておかないと、売却時の注意点や対策方法が分かりません。そこで今回は、一戸建てや土地の売却方法とマンションの売却方法の違いや、手続き方法について解説します。

一戸建てや土地売却の流れ

結論から言うと、一戸建てや土地を売却するときには、マンションの売却方法と概ね同じです。ただ、土地の売却はもちろん、一戸建て売却時も「土地部分」の価値が大きい点で多少の違いがあります。

全体的な流れ

一戸建てや土地の売却時の全体的な流れは以下の通りです。

  • 不動産会社へ査定依頼
  • 土地の境界確認
  • 不動産会社と媒介契約
  • 売却活動
  • 購入検討者との交渉
  • 申込、契約、引渡

上記のように、「土地の境界確認」という点が、マンションの売却と異なる点です。マンションも土地はありますが、その土地はマンションの入居者全員で共有しています。そのため、マンション所有者1人が持っている土地は非常に小さい土地になります。

また、その土地も自分だけで活用できるワケではないので、資産価値としては小さくなります。そのため、マンション売却時には、その売却価格のほぼ全てが建物価格になります。「土地の境界確認」以外の手続きは、一戸建て・土地売却とマンション売却は同じです。

一戸建てや土地は境界に注意

一戸建てや土地は境界に関して以下について注意しましょう。

  • 境界杭の確認
  • 地積測量図の確認

一戸建てや土地の売却とマンションの売却の違いである「境界」は、不動産売却においては非常に重要になります。

境界杭の確認

境界杭とは、土地と隣地、そして道路などの境界を明示する杭のことです。この杭は金属や石などで作られており、杭が打っている場所が隣地や道路との境目を表しています。この杭は、道路や土地の角に埋設されています。

一戸建てや土地の売却をする場合、まず自分の周囲にある境界杭を確認してみましょう。境界杭が破損することはほぼありませんが、道路工事や隣地の増改築工事などで破損することはあります。破損すれば、次項の「測量」を改めて行うことで境界を明示します。

地積測量図の確認

境界杭があっても、その境界杭によって土地の面積が証明されていないと意味がありません。その土地の面積を証明するための資料は「地積測量図」や「実測図」と言われる資料になります。境界杭があっても、これらの資料がない場合は、先ほどと同じく「測量」を改めて行うことで境界を明示します。

そのため、境界杭を確認したら、地積測量図や実測図があるかを確認しましょう。また、地積測量図や実測が古い資料(数十年前)であれば、当時の測量の精度は低いので測量をし直す必要があるかもしれません。この判断は難しいので、資料が古い場合は不動産会社に確認しましょう。

また、以前は謄本に記載されている「公簿面積」だけで取引していましたが、公簿面積は不確かな場合もあります。たとえば、上述した「測量図が古い」場合などです。そのため、最近の土地・一戸建て取引は、必ず実測図を作成して取引します。

土地の価値は売却金額で重要

境界確認が大事な理由は以下の理由からです。

  • 土地は広さによって売却金額が異なる
  • 土地の価値は大きい

とにかく、一戸建てや土地の売却時は、土地の広さをハッキリさせることが重要です。

土地は広さによって売却金額が異なる

土地は広さによって売却金額が異なります。たとえば、一戸建ての建物部分やマンションは、広さ以外にも間取りや設備・仕様、そして建物の劣化具合で売却金額は異なります。そして、土地もエリアや立地的な要素で売却金額は変わります。

しかし、土地は坪単価で価格が決まるので、仮に1坪500,000円であれば、測量で2坪(約6.6平方メートル)異なる結果が出ただけで100万円も売却金額が異なります。そのため、1坪の誤差が大きな売却金額の違いを生みます。

土地の価値は大きい

また、土地は価値が非常に大きいです。なぜなら、土地には建物と異なる以下のメリットがあるからです。

  • 土地は資産価値が落ちない
  • 土地は活用方法が多い

土地は建物と違い、資産価値が落ちません。そのため、たとえば相続したときにも土地は資産価値が落ちないので、相続価値も高い財産です。一戸建てを購入する人の中には、「子供に資産が残るから」という理由の人も多いくらいです。

また、土地は一戸建てを建築する以外にも、「月極駐車場」や「アパート建築」など、たくさんの用途で利用できます。その点も土地の価値が大きい理由です。

境界の確認が取れないとき

上述したように、境界の確認ができないときには、測量をし直す必要があります。そのため、測量に関しては、以下の点を理解しておきましょう。

  • 測量の方法
  • 測量にかかる費用

上記2点は、測量が不要なときには気にしないで良いです。

測量の方法

測量するときには、不動産会社経由で依頼することが多いです。測量は、家屋調査士や測量士が行う必要があります。

ただ、大抵の不動産会社は、馴染みの測量士・家屋調査士がいますので、自分で探すよりも不動産会社に依頼した方が効率がいいでしょう。

測量するときに知っておくべきこと

測量するときに知っておくべきことは以下の3点です。

  • 測量が必要な場合
  • 測量にかかる費用
  • 測量の流れ

特に、測量にかかる費用は知っておきましょう。測量費用は売主が負担します。

測量が必要な場合

測量が必要な場合は、上述した「境界杭が破損している」という以外には、以下のような状況のときです。

  • 塀やフェンスなどがない
  • 価格が極めて高い土地

塀やフェンスは、境界杭の代わりではあります。通常は、塀やフェンスがあっても境界杭はありますが、塀やフェンスがあることで境界は分かりやすく明示されます。そのため、塀やフェンスがないと、正確な境界線が分からないので、測量し直すことが多いです。

また、土地価格が極めて高い場合も、改めて土地を測量することが多いです。たとえば、1坪300万円の土地であれば、実際の面積と5坪違えば1,500万円価格が異なります。そのため、改めて測量をして正確な面積を算出するということです。

測量にかかる費用

測量にかかる費用については以下の通りです。

  • 一般的な測量費用:350,000円~450,000円
  • 官民立ち会い有の測量:600,000円~800,000円

土地との境界が道路の場合には、道路の所有者は官庁になります。そのため、役所の立ち合いなどが必要なため、官民立ち合い有の測量になります。ただ、土地が広かったり、土地の形状が複雑であったりする場合には、測量費用は高額になりやすいです。

測量の流れ

測量する際の流れは以下の通りです。

  • 資料の調査
  • 隣接所有者への挨拶
  • 測量
  • 関係者の境界立ち合い
  • 境界杭の設置
  • 書類の作成

まずは、謄本や地積測量図など、過去の資料を調べます。また、隣地境界線の場合には、隣地の所有者に挨拶して、立会日の決定などを行います。そして、立会日が決定すれば、現地にて境界調査・測量を行い、境界杭を作成して設置し、それに準じた書類作成をします。

改めていいますが、一戸建てや土地の売却手続きは、マンションの売却手続きと同じです。ただ、土地の「境界」という点で手続きの違いがあるので、その点は理解しておきましょう。測量し直す必要があれば費用も生じるので、特に注意する必要があるといえるでしょう。