マンションの空室対策と上手に賃貸経営をする7つのコツ

不動産投資としてマンションの賃貸経営を始めた人にとって一番の不安は、空き室問題です。全国的に空き室・空き家率は上昇し、東京を除き15%以上となっています。満室となるマンションもあれば、半分も埋まっていないというマンションもあるため「10室あるなら1・2部屋が空いている」などという考え方で賃貸経営を始めるのは危険です。

空室となる原因を知ろう

空室率の増加の原因には、人口の減少とマンションの増加による需要と供給のバランスが崩れている事にあります。賃貸物件のニーズが減っているにも関わらず、新設賃貸物件も増加しています。この新設賃貸物件は、古い物件を新しく立て直しているという訳ではなく、築40・50年と言う物件の募集も引き続き行われている状態なのです。

タイミングが悪い

理想のマンションがあったとしても、転居して間もない場合であれば、入居先を変更するという人は少ないです。新築マンションは、募集時期が重要といえます。また、空室が予測される場合は早い段階での告知も重要です。

立地が悪い

  • 通勤・通学が不便・駐車場がない場合
  • 墓地や線路脇など環境が悪い場合
  • 繁華街などで深夜まで騒々しく、治安面でも不安がある場合

築年数が古い

築年数の経過した賃貸物件というものは、単純に建物が古いというだけでなく、現代のライフスタイルに合っていない場合も多いです。選択肢の多いマンション物件の中で、魅力的な物件を引き立たせるための道具に使われる事もあります。

家賃設定が悪い

希望利益を重視し入居者を無視した家賃設定は、一番の空室原因となります。また、他の空室原因となるデメリットに対する割安感が無い場合も同様です。

しかし空室の原因を全て家賃設定で補えるかと言うと、需要と供給のバランスが崩壊しているため、価格だけでは補えきれないのが現在のマンションの空室問題です。

空室を埋めるコツ

空室を埋めるため、月々の家賃を値下げするだけの対策では、簡単に行き詰ってしまいます。空室対策で重要なのは、空室が埋まらない原因を知り理解を深め原因を補い、家賃を下げずに入居者を増やすポイントを押さえていくことが重要です。

転居の負担を減らす

「魅力的な物件があるが、まだ引っ越しを行って日が浅いため検討の余地がない」このように、転居には金銭的にも時間的にもさまざまな問題がおこります。引越しの負担を減らす事で、現状住んでいる物件よりも立地・設備・内装・間取り・広さ・家賃など、どれか1つでも強い魅力に感じた場合に転居への意識を高められます。

礼金・仲介手数料を無くす

マンションの入居に掛かる初期費用「敷金」「礼金」「仲介手数料」のうち「礼金」「仲介手数料」の負担を貸主が負う事で、借主の負担は転居の手続きと鍵の交換費用と引っ越しとなります。

礼金を無くし、仲介手数料まで負担をする事で損をした気分になると思います。しかし、一度マンションへの転居が行われれば、最低でも契約更新までの2年~3年は住み続ける傾向が高いため、家主にとって最終的にはプラスに働きます。

家賃無料期間をつける

入居者が数か月に渡って決まらない事を想定した場合、1ヵ月の家賃を無料にしても入居者を得る方が得と言えます。転居への心理的負担が減るだけでなく、同様な条件の部屋と悩んでいる人がいる場合には入居の決め手として力を発揮してくれます。

引っ越し業者との連携

賃貸に力を置いている不動産業者の場合、引っ越し業者と提携を行っている不動産業者があります。

  • 不動産業者の紹介で割引がある場合もある
  • 不動産業者の紹介のため引っ越し業者の仕事が丁寧
  • 多数の引越し業者と提携している場合、相見積もりによるサービス合戦が行われる

入居者募集を依頼する不動産業者を選択する際に、貸主にとってのサービスだけでなく入居者へのサービス確認も大切です。

リフォーム・リノベーションを行う

リフォームを行うよりも家賃を下げる方法を取る人がいます。マンションの供給が多い現在では、値段を下げるだけならばローン返済が無い人なら誰もが考える手段です。

そのため30年以上が経過したマンションでは、値下げによる新しい入居者は期待できないと言っても過言ではありません。30年以上経過したマンションは、水回りを始めとする設備の入れ替えが必要となります。また、ポイントを絞った1点豪華主義というのも、リフォーム・リノベーションによる魅力づくりの手段です。

  • タイル調の風呂・トイレ・キッチン
  • 隙間風などによる空調管理が弱い
  • インターネットへの対応

最低でもこれだけは、リフォームを考えておいた方が良いと言えます。このほかにも「襖・畳」を「クローゼット・フローリング」に変更するか、和室の風情をそのままにリノベーションを行う事で入居率を上げる事ができます。

家具・家電付き

入居者に対し、何か魅力を提供できる場合の後押しとなる方法です。

家具・家電を利用したモデルチェンジや、ターゲットを絞った家具・雑貨でのアピールなど、居住した際に魅力的な生活を想像できる家具・家電・雑貨などを配置する事が重要です。そのまま、家具・家電の利用を含めた価格設定にするか、モデルハウスとして家具を配置するかは、不動産業者に一度相談してみましょう。

家具・家電ごと貸し出す場合、最低限の荷物のみで生活が行えるのが魅力となります。

不動産業者に働きかける

マンションをはじめとする賃貸物件に対する不動産業者には、明確な優先順位が決まっています。

一括借り上げの管理契約(サブリース契約)を行っているマンション

一定の固定金額で不動産業者がマンションを借り上げをしているため、入居率を高くすればするほど業者の売り上げに通じます。

入居者を決めた際に礼金が生じている

謝礼金の有無は大きく入居案内を左右します。マンションの入居による謝礼が無い場合、不動産業者は日常の不動産管理の一旦として入居者を決める活動を行う事になります。

謝礼の無いマンションAより、謝礼のあるマンションBの入居者を決めるために不動産業者が力を尽くすのは当然です。また、謝礼が無い事で管理会社以外の不動産業者には、そのマンションの入居を決めるメリットがありません。そのため入居者の案内数自体がとても少なくなってしまうのです。

入居者が決まれば売り上げに繋がるため、不動産業者は積極的に案内を行います。

不動産業者が優先的に空室を埋めようとしないマンションは、酷い時には他のマンションの入居を促すための「比較用」として利用されることもあるため、不動産業者と良好な関係を作っておくというのは重要な空室対策となります。

不動産管理業者の変更を視野に入れる

不動産管理業者は不動産の維持・管理を委託されています。しかし全ての管理業者が同じ業務を行い、同じ情報力・集客力を持っている訳ではありません。そのため入居率を上げるためには、管理会社の選択も重要です。

  • 入居率の高い業者
  • 空室期間の長い業者
  • 賃貸業務に力を入れ、知名度の高い業者
  • 入居率を上げるための指摘・対策を行ってくれる業者
  • マンション周辺の企業と深いかかわりがある

これらの特徴を持つ業者が良い業者と言えます。オーナーの発言に対して、都合の良い発言を行う業者は「良い業者」と認識しやすいですが、結果的には業績を上げる事ができない業者となります。

ターゲットを限定する

入居希望者があっても、入居希望を断る場合があります。一般的にターゲットから避けられる客層を狙うのも方法です。

外国人入居者

日本特有の常識やマナー等によるトラブルへの覚悟は必要です。

ルールの説明を徹底したり、契約の際に通訳を立てたりといった対応の他に「国ごとの専用マンションとして利用する」とする事で、入居者も安心でき文化の違いによる反発も少なくなります。

このように外国人専用のマンションとする場合には、周辺の居住者の理解も必要なため事前にトラブルを想定しておくことも必要です。

環境的な要素を配慮した募集

歓楽街や工場地帯などの場合、一般的な入居希望者は訪れない場合があります。そのため、その周辺地域に勤務している人をターゲットにする事で入居が促進できます。状況次第では、社員寮としての利用を促進するという事も行えます。

入居者を入れる事で重要なのは、家賃滞納保証会社の審査です。審査が通るかどうかが、入居を受け入れる際の基準としてとても有効です。緩めるところは緩めても良いのですが、重要な点は厳しくするということが賃貸経営にとって重要です。

値下げが必要なマンションとは

空室対策で最も容易な対策方法は、家賃の値下げです。容易に家賃の値下げを行う事は、マンション経営を長期間続けるために最善とは必ずしも言えません。

  • 立地が悪い
  • 周辺環境が悪い
  • 築年数が10年超え20年未満のところ(リフォームをしていない場合)
  • 相場と比べてもともと高く設定してある

このように、変更のしようがない場合は家賃を下げる方が良いです。築年数を家賃の値下げで対応できるのは、生活スタイル的にリフォームを必要としない時期までです。一定時期ごとに、水回りなどの商品は進化をします。それらの対応を行わず、値下げだけで空室対策を行ってはやがて行き詰ってしまいます。家賃の値下げは、空室対策として簡単ですが決して万能とは言い切れません。

まとめ

人口の減少とマンション増加により、どうしても空室は増加する傾向にあります。

  • 空室の原因を解明し対策を立てる
  • 修繕、改装・リノベーションなどの準備をしておく
  • 不動産業者と良好な関係性を築く

このポイントに注意して、所持物件にあったより良い運営を行い、安心できる賃貸経営を行ってみてください。