マンションの2020年問題って何?

「マンションの2020年問題」という言葉を聞いたことはありませんか。

今多くの専門家たちが、警笛を鳴らしているのがその「マンションの2020年問題」です。2020年といえば、パッと思い浮かぶのが東京オリンピックだと思います。東京オリンピックが決定したことで東京都内の不動産価格は一気に上昇しました。

1964年に開催された第一回東京オリンピックでも同じように、日本の不動産価値は一気に上昇し、経済大国と言われるまでに成長しました。

しかし、今回の2020年東京オリンピックがあのときと同じだと考える人は、専門家の中にはほとんどいません。

東京の不動産価値の上昇は一過性のものであり、東京オリンピック終了と同時に大暴落すると考える人がほとんどなのです。専門家の中には「東京のマンションは近い将来資産価値がゼロになる」という人や、「東京の街はスラム化する」と断言する人までいます。

しかし、マンションの2020年問題はこれだけではありません。入居者の高齢化、マンションの老朽化など、その問題は他にも数多くあります。そうしたことを踏まえてマンションの2020年問題を解説します。

東京のマンション価格は東京オリンピック以降大暴落するのか?

東京オリンピックが決定したあと、東京都内のマンション価格は上昇を続けました。そして2015年度の調査では、ついに新築分譲マンション価格が平均6,000万円を突破したのです。これは実に8年ぶりのことであり、リーマンショックが起こる2007年のミニバブル期よりも高い水準です。

こうしたデータをみても、東京オリンピックの開催決定後、東京都のマンションは新築や中古にかかわらず、大きく上昇したことは間違いありません。そしてこのマンション価格の上昇は、東京オリンピックまでは確実に続くだろうと言われているのです。

しかし、実際問題として2016年11月現在、東京都内のマンション価格は、早くもピークを越したという見方をする専門家の方が増えています。実際都内各地でマンション価格が徐々に下がり始めていますし、新築マンションにしても完売しない物件が増えつつあります。

なぜ新築マンションが完売しないのでしょうか。

理由は簡単です。多くの人が、今まさにマンション価格のピーク時だと思っているからでしょう。

実際、不動産業界の多くの人がそう思っているはずです。都内のマンション価格のピークはすでに過ぎました。具体的に言うなら2015年の10月~2016年の3月くらいまでがピークだったのではないでしょうか。

ただし、これは東京だけの問題ではありません。近年のオリンピック開催都市の不動産状況を調べても、やはり同じように開催決定後一時的に上昇をして、オリンピック開催の2年くらい前から徐々に下降するというデータがあります。東京もやはり例外ではなかったということでしょう。

そして一番気になるのが、東京オリンピックが終わった2020年以降です。東京都の人口も2020年にピークをむかえ、それ以降は徐々に減少するといわれています。つまり人口の減少は、マンションの需要が減り、供給が増加することを意味しています。となれば当然都内のマンション価格は、中古物件を手始めに価格は下がっていきます。

ただ巷でいわれているように、オリンピック終了と同時に一気に大暴落するとは言えません。あくまでも専門家がいうシナリオは、最悪の事態を想定したときのことだからです。
それが結果として「マンション価値が2020年以降ゼロになる」と広まっているのです。

しかし覚えておいて欲しいのが、日本の地方部では、すでに2020年問題として考えられている入居者の高齢化や建物の老朽化が進み、その結果として資産価値ゼロと言われる中古マンションが、数多く存在しているということです。ということは近い将来、東京都内のマンションにも同じような現象が起こることは容易に想像できます。

高齢化問題、老朽化問題も2020年問題のひとつである

2020年問題と言われるのは、東京オリンピックに関連したことばかりではありません。マンションの資産価値がゼロになると言われる根拠は他にもあります。それが入居者の高齢化や建物の老朽化の問題です。

国内における高齢化問題は、説明するまでもないと思いますが、こうした高齢者世帯がこれまでと同じように、マンションの維持管理を行うことが可能なのでしょか。

一番に問題となるのが、修繕費や維持管理費用です。建物の老朽化が進むにつれ、これまでのように修繕積立金だけでは補えないマンションは増加すると言われており、そうなったとき修繕費を誰が負担するのかというと、入居者以外の誰でもありません。

仕事も定年退職、年金生活の高齢者にマンションの大規模修繕をするだけの蓄えがあるのでしょうか。適切な維持管理や修繕が行われないマンションは、それだけで大きく資産価値が減少します。最終的には二束三文でも買ってくれないというマンションが増え続けることになります。

実際に地方部では、10万円や50万円という価格でさえ誰も買い手がつかない中古マンションが驚くほど沢山あります。

急激に価格が上昇したエリアに注意

東京オリンピック決定後に、急激に価格が上昇したエリアは注意が必要です。急激に価格が上昇したエリアは、同じように急激に価格が下落する可能性が高いエリアであることを認識しておかなければなりません。

具体的な地名をあげるなら「二子玉川」などが真っ先に思い浮かびます。もともと二子玉川といえば、マダム層の街というイメージだったのですが、最近は新しい商業施設も次々に完成し、今ではすっかりファミリー向けの地域へと変貌を遂げています。

また若い人も二子玉川を住みたい街ランキングとして選ぶなど、すっかり昔のマダム層の街というイメージはありません。しかし、やはり急成長を遂げた街という印象は強く、そのブランドイメージが崩れると、一気に価値が暴落する恐れがあるのも事実です。

今回紹介したように、マンションの2020年問題というのは、決して東京オリンピックに関連したことばかりではありません。今現在、日本が抱えている高齢化社会など全体を見据えて考えなくてはならない問題です。

世の中の大きな変化と共に、2020年が抱える問題は膨大です。こういった中で迎えるターニングポイントで時の流れに飲み込まれずに、冷静な判断でピンチをチャンスにできる力が必要とされています。