マンション売却が完了したら営業マンへのお礼は必要なの?

マンションは長期間に渡って売却活動をつづけることもあるので、営業マンと売主の仲が深まることがあります。そんなときに、マンション売却の完了時点で、売主が営業マンにお礼を渡す場面も少なくありません。ただ、そのお礼は営業マンの負担になることもあるので、お礼については慎重に考えましょう。

マンション売却は営業マンの二人三脚

マンション売却は、原則1人の営業マンと二人三脚で進めていきます。また、マンションは価格が1,000万円単位の高額な商品のため、中々売れないケースもあります。そのため、ほかの商品の売却時よりも、売主と営業マンの絆が深まることが多いです。

売却活動の期間は長い

マンション売却時は、マンションを売却する最初のステップである「査定」から、売主と営業マンは顔を合わせます。そして、媒介契約を結び、売却活動をして、申込・契約・引渡と最後のステップまでずっと営業マンが取引を主導する流れです。

売却活動も、土日のアポ調整をしたり、検討者の状況を逐一報告したりと、内見がない日も密に連絡を取り合います。また、査定~引渡までは半年程度の長期間になることも多いため、個人的に営業マンと仲良くなるケースも多いです。

営業マンはその人次第

営業マンも人なので、その人次第で仲がどの程度深まるかは違います。人懐っこく、プライベートで食事をするほど仲良くなることもあれば、あくまでビジネスとして売主に接することもあります。

それは、どちらも正解のスタンスであり、決して仲が良くなる営業マンが優秀な営業マンというわけではありません。ただ、売主が個人的にお礼をしたくなるような営業マンは、前者のような個人的に仲が深まるタイプの営業マンでしょう。

お礼の必要性はあるのか?

営業マンへのお礼は特に必要ありません。言ってしまえば、営業マンは仕事をしただけであり、マンションの売却が完了しているということは、多額の仲介手数料をもらっているはずです。

その仲介手数料がそのまま営業マンの収入になるわけではありませんが、営業マンの成績には大きくプラスになっています。

お礼は言葉でしよう

もし、お礼をするべきか迷っているならば、営業マンに感謝の言葉を言ってあげましょう。また、手紙などで感謝の意思を伝えられるのも、営業マンは嬉しいです。マンションの売却がスムーズにいっても、特にお礼を言わない売主もいます。

ただ、営業マンからしてみると、お礼を言われることが当たり前ではないので、お礼を言われなかったとしても特に何も思いません。逆にお礼を言われるだけで、営業マンは嬉しい気持ちになるということです。

お礼を渡したら賄賂に当たるのか?

お礼をするか迷っている人の中には、お礼を渡したら賄賂に当たるかを気にする人もいますが、お礼を渡したとしても賄賂には当たりません。もちろん、大金を渡したり資産を譲渡したりなど、行き過ぎたお礼は「贈与」などに該当する場合がありますが、常識の範囲内でのお礼は賄賂に該当しません。

テレビでたまに「賄賂」のニュースがやっていますが、あれは公務員が金銭や品物をもらった場合の罰です。公務員は、行政の事業内容などを決められる立場なので、賄賂によって税金が恣意的に使われないようにするため、金銭や商品などを受け取ると賄賂と見なされます。

厳密にいうと刑法197条1項前段の部分が公務員の賄賂を規制しており、その項目では民間人への明記は特にありません。

ただし、会社によってはコンプライアンス上、顧客からお礼をもらうことを禁止にしている会社もあります。このような規制をしているのは大手不動産会社が多いので、該当しそうであれば営業マンに直接聞くことをおすすめします。

どうしてもお礼を渡したい場合

前項までのように、基本的にはマンション売却が完了したからといって、営業マンに個人的にお礼をあげる必要はありません。営業マンにとっては、顧客のお礼の言葉だけで十分です。

ですが、「本当にお世話になったから」という理由で、どうしてもお礼を渡したい場合もあると思います。そんなときのために、お礼を渡すタイミングや、おすすめの品物を紹介します。品物については、営業マンの年齢や性別によっても異なるので、あくまで参考程度にチェックしてみてください。

渡すタイミングはいつがいいのか?

渡すタイミングは、引渡まで全て完了したタイミングが良いでしょう。売買契約時に渡したいと思いがちですが、売買契約から引渡までに万が一のことがあれば、お礼を渡した手前少々気まずくなると思います。

厳密にいうなら、引渡時に買主からの入金を確認して、引渡関係書類に署名・捺印を終えたくらいのタイミングがベストでしょう。そのタイミングであれば、ローンがあれば金融機関へ行き、その後は法務局へ登記しに行くだけなので、ほぼ引渡業務は終わったのも同然です。

また、引渡書類の署名・捺印は不動産会社のオフィスで行うことも多いので、お礼としてもらったものを営業マンが自分のデスクに置いておきやすい点もメリットです。このような理由で、引渡書類の手続きが終わったタイミングで、さりげなく渡すのが良いでしょう。

どんなものがおすすめなのか?

実際にどのようなものを営業マンにあげれば良いかについては、以下の点を抑えておいてください。

  • 社内で配れるもの
  • 日常生活で利用できるもの
  • 高級品は遠慮する

営業マンはお礼を言われるだけで嬉しいモノなので、品物までもらえれば当然嬉しいです。「気持ちが大事」と割り切って、商品選びにそこまで時間と労力を割く必要はありません。

社内で配れるもの

一番無難なのは、お菓子や飲み物などのように、デパートやお菓子屋さんで売っているギフトセットでしょう。このような品物を受け取れば、営業マンも会社内で配りやすいので、「○○さん(顧客)からもらって」と、プチ自慢もしやすいです。

また、営業マンの立場からも、「会社全体に向けて」のようなスタンスで受け取れるので、重く受け止めない点も良いと思います。

日常生活で利用できるもの

また、日常生活で利用できるものも良いでしょう。日常生活で利用できるものとは、たとえば以下のような品物です。

  • ボールペン
  • ペンケース
  • 手帳(メモ帳)

このように、日常的に仕事でつかえるグッズは割と嬉しいです。ただ、前項のお菓子などもそうですが、大体3,000円前後のものが良いでしょう。

3,000円のボールペンなどは、中々自分で買わないですが、ボールペンはいくらあっても困らないので嬉しいものです。ただ、それ以上の金額の商品だと、営業マンも気兼ねしてしまいます。

高級品は遠慮する

ブランド物のネクタイや高級なお菓子など、金額の高いものは避けましょう。金額の高いものを受け取ってしまうと、営業マンも「何かお返ししなくてはいけないかな?」と思い、逆に負担になってしまうかもしれません。そのため、3,000円前後で、高くても5,000円程度には抑えておきましょう。

このように、基本的には営業マンへ個人的にお礼の品物は不要であり、感謝の言葉を伝えるだけで充分です。ただ、どうしても何かあげたい場合は、3,000円前後の営業マンが気軽に受け取れる程度のものにしておきましょう。