孤独死などによるマンション売却方法と遺品整理について

身内や親戚の孤独死によりマンションを相続した場合、単純に相続を喜ぶ事はできません。孤独死による相続は、大きな悩みの原因となります。

その悩みは、マンションの売却方法・遺品整理だけでなく、相続税や固定資産税などの経費にまで広がります。そして孤独死と言う特殊な事情により、相談を行えず悩みを大きくしてしまうのです。

孤独死が特殊とされる理由

孤独死の定義はとても難しく法的には明確にされていません。一般的に、若い単身者の突然死は孤独死には含まないとされています。しかし「適切な救急救命医療により生存ができた」場合には、孤独死とされるケースがあります。

また、家族で生活しているから、孤独死にならないと言う訳ではなく、一人暮らしではなくても社会的に孤立している状態で、家族や周囲に気づかれないまま死亡し長時間経過した状態も孤独死とされます。

そのため、孤独死に対する周囲の印象は、不動産価格に大きな影響を与える程度に「悪い」のです。

孤独死があったマンションの売却方法

孤独死のあったマンションと言うと、売却する方も売れるのか?と不安になります。不動産の売却方法には、不動産仲介による「売却」と業者による「買取」があり、これは孤独死があったマンションであっても同様です。

仲介による売却の場合

一般顧客である「売主」「買主」のマンション売買を、不動産業者の仲介により成立させることを言います。これは孤独死のあったマンションであっても、物件の買主を不動産業者が探しだす面で違いはありません。

しかし、売却価格に大きな違いが生まれます。

売却価格は売主により決定されますが、孤独死などの特殊な事情を考慮し価格を設定する必要があるのです。一般的な売却額に比べ非常に安くなるものの、相続税や固定資産税、マンション管理費を初めとする維持費を考えるなら、どんなに安くても売却した方が良いと考える人が多いのが孤独死物件の特徴と言えます。

また孤独死のあった物件を売却するためには、広範囲を対象に物件紹介を行うことが重要となります。そのため全国展開をしている大手不動産業者が適当と言えます。全国を対象とすることにより、孤独死があったマンションであっても「安いなら是非購入したい」と言う人との出会いを高められるからです。

しかし、売却までの期間が長くなる事を覚悟しておく必要があり、最悪の場合、買い手が付かないという場合もあります。

そのため、孤独死などによる特殊な事情の物件は、業者による買取も視野に入れる必要があると言えます。

業者買取りの場合

孤独死による居住者を失ったマンションを、一般の業者に買取りしてもらおうと思った場合に「購入拒否」や「経費のみの価格での買取り」と言われる事があります。不動産業者が売主の弱みに付け込んでいると言う訳でなく「売却が出来ない」「相場が判らない」などの理由があるためです。

しかし、事故物件などの買取りを専門で行っている業者に依頼することで、相場より価格は低くなるものの相応の価格で買い取って貰う事ができます。専門業者だからこそ、孤独死等の特殊な物件を扱うノウハウを持っています。その結果、一般の不動産業者では取り扱いを拒まれたマンションを少しでも高く売却できます。

また複数の専門業者へ査定依頼を行う事で、さらに高い価格で購入してもらえます。

業者買取りについてはこちらの記事で詳しく解説しています。マンションが売却できなくて困っている人は、こちらのページもチェックしてみて下さい。

なかなか売却できないマンションを業者に買取りしてもらう方法

孤独死が起こったマンションの扱いについて

近年、不動産物件の空き室率は13%以上と言われています。そんな中、孤独死のあったマンションを処理しようとしてもなかなか難しいのが現実です。そのため、孤独死のあったマンションの処理方法は、大きく2パターンに分かれています。

放置

孤独死が起こったマンションが比較的に田舎である場合、相続人が遠方にいたり、相続人がいなかったりという場合もあります。その場合、居住者のいなくなったマンションは放置されてしまいます。

内装全体のリノベーション

孤独死の発見までに時間がかかった場合、室内の床や壁、天井、水回り等をリノベーションし再利用する事があります。マンションをキレイにした後に「売却」「賃貸」によりマンションを再活用します。リノベーションを行ったものの、販売価格や家賃は相場よりも安いのが一般的です。

孤独死の告知義務

孤独死とは、自宅などの生活空間で突発的な疾病などで亡くなることをいいます。特に重篤化しても、周囲に助けを呼ぶことが出来ない状態での死亡を言います。

この孤独死には明確な基準がなく、事故物件として扱われる事があります。

  • 長期間発見されることなく、状態が悪い場合
  • 自殺が疑われる場合
  • 殺人が疑われる場合

このような特殊な理由がなく心理的瑕疵がない場合は「重要事項説明書」への記載義務はありません。反面、事故物件として判断された場合は、心理的瑕疵物件と考えられ告知義務が生じます。

しかし、「告知義務」「重要事項説明書への記載義務」がないからと買主に秘密にすることは危険です。買主が、居住を開始するとどうしても「孤独死」の事実が耳に入ってしまうからです。

孤独死の起こった物件の購入者が「知っていれば絶対に購入しなかった」と拒否を起こしてしまいます。義務が無いと訴訟を行った場合、心理的瑕疵の判断はとても難しいため必ず勝訴できるとは限りません。そのため、事前に孤独死の事実を伝えておくことが無難といえます。

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遺品整理について

孤独死のあったマンションの片付け・清掃・不用品の整理は、遺族によって行われるのが一般的でした。しかし現代では、時間や人手の都合で遺族だけでは行えないことが増え、遺品整理業者に依頼するという人も多いです。

遺族が行う基本的な遺品整理の手順をみていきましょう。

貴重品や思い出の品を探し出す

貴重品の類は、タンス・机の引き出し本棚、テレビ台の中にある事が多いです。

レンタル品の返却

返却先が記載されていますので、先に連絡をしておくと良いです。面倒だからと放置しておくことで多額な延滞金を請求される原因となります。

リサイクル遺品の買取り

製造から年月の経っていない家電であれば買取り対象として引き取ってもらえます。切手・コイン・時計などのコレクション品等は、高額で買取りを行ってもらえる場合もあります。

破棄品の分類

地域のゴミ出しに従って処分します。遺品整理などの処分方法は市区町村のホームページでも確認ができます。

粗大ごみの処分・掃除

事前に予約・処分代金の支払いが必要となります。また分類が十分でない場合は回収されないこともあるため注意してください。ごみの処分が終わったら、掃除をします。

マンションの片付けと消臭

孤独死が早い段階で発見され、部屋の傷みが比較的少ない場合、片付け・消臭・クロス張替、水回りの掃除や修繕を行い売却や賃貸による活用を行います。

この際に必要な注意点は、一般的なハウスクリーニング業者は清掃を引き受けません。

孤独死による片付けと消臭を専門業者に任せる理由

マンションでの孤独死による発見理由の多くは、隣近所から悪臭クレームです。孤独死の後に最も早く処理することは、腐敗臭の対処になります。

そして遺体の腐敗臭は、強烈な悪臭なため一般的なハウスクリーニング業者では対応しきれません。しかし専門の業者であれば、特殊な消臭剤・道具を利用し適切な消臭手順で消臭作業が行われます。これにより、気になる臭いも解消できます。

故人の部屋・荷物の整理を心情的にできない、一人で亡くなった事を考えるとつらい、遠方なため対処できないなど様々な理由で、遺品整理や、孤独死のあったマンションの特殊な清掃を行う業者が近年増えています。

料金は、部屋の広さで変化しますが、かなりの費用がかかります。しかし、孤独死などによるマンションの売却には、腐敗臭の消臭に特化した業者が不可欠なため、早い段階での相談をおすすめします。