新築マンションの購入者を支援するため、住宅金融支援機構(旧重テク金融公庫)ではさまざまなローンが提供されています。それらのローンの中には、本来マンションを購入できない低収入層の人でも、マンションが購入できるものがあります。ただし本来借入れ基準になかった人達は、現在多大な苦労をしているといえます。
任意売却の条件
不動産物件は、住宅ローンなどの抵当権がついたままでは売却できません。一般的なマンションの売買では、売却費用をローン返済にあて抵当権の解除を行うと同時に名義変更を行います。
しかし、売却費用の全てをローン返済に充当しても、ローンを完済できず抵当権が解除できなくても「名義変更が行える」、これは、任意売却がもつ特徴の1つと言えます。
特別な裏技のように思う人もいますが、一般的な不動産売買取引ではローン完済を行わず、抵当権解除はできません。
任意売却の条件は、ローン返済の滞納、ブラックリストの掲載が必須条件です。任意売却は競売による住宅販売の強制執行の救済措置とも言えます。
競売とは
住宅ローンの返済が3~4ヶ月滞ることで、金融業者から督促状や催告状、提案書などの書類が届きます。書類には「返済方法変更の案内」「民事再生の案内」「住まいの売却の案内」が記載されています。書類が届いたら、競売が行われるまで日がないため、早めの行動が必要となります。
この時点でなんらかの手段を行わないと、裁判所の管理下で強制的に売却を行う競売が行われてしまいます。住宅を売却後、売却代金から住宅ローンの返済が行われますが、債権が残ることがほとんどです。
競売の特徴
売却価格が相場の5~7割程度から開始され、競売参加者により価格が決定します。一般的には、相場の8割前後の価格での売却が決定しまいます。
マンションの売却価格で返済しきれないローン残高は残ります。残ったローン残高返済方法が、金融機関との交渉で決裂した場合には連帯保証人への請求がされます。
競売告知が大々的にされるため、周囲にローン滞納の事実が知られてしまいます。また、ブラックリストに掲載されます。
このようにデメリットしかないため、競売になる前に任意売却が選択されます。
任意売却とは
競売が所有者の意思に関係なく売却を強制的に行うことに対し、任意売却は競売が始まる前に一般のマンション売買と類似した条件での売却が行えます。一般のマンション取引と違う面は、金融機関など、債権者の合意を必要とする点です。
金融機関から合意を得るとなると敷居が高いと感じる人もいますが、まずは金融機関に相談を行って下さい。慢性的な支払い放棄と一時的な滞納とでは状況が違います。状況次第では、金融機関も返済条件の見直しができる場合があります。
しかし、どうしても任意売却しか方法がないとなったなら、不動産業者・司法書士・弁護士・任意売却業者に相談すると良いでしょう。
任意売却の話し合い
債権者である金融機関と話し合いはとても大切です。話し合い次第では、マンション売却後の新しい生活への心配が減少できます。
金融機関との話し合いで決定できること
- 任意売却の合意
- 引っ越し時期或いは売却後の継続居住
- マンションの売却金額からのローン返済の内訳
- ローン返済後に残った債権の返済方法
ローン返済の内訳としては税金・マンション管理費などの滞納、引っ越し費用分をローン返済から排除してくれることもあります。
任意売却の特徴
任意売却はあくまでも競売を避けるための手段のため、競売と比べた場合メリットも多いです。
必要な費用が準備できなくても、売却を行うことができます。競売と比べ、相場に近い価格での売却が行えます。
また、合意が必要ですが、引っ越し費用と当面の生活費を、ローンの返済から排除できます。返済しきれなかったローン残債の返済方法を金融機関と相談することができます。
親戚・投資目的の購入者の場合、家賃を払うことでそのまま住み続けることができます。競売と違い周囲に知られずに売却を行えます。
任意売却の流れ
任意売却の流れは住宅ローンの債権者である金融機関により多少違う面も出てきますが、大きな違いはありません。
滞納1~2ヶ月
督促状・催告状・提案書などの書類が届きます。それらの書類には、滞納が続くことで今後どうなるかが書かれています。この時点で選択する方法は
- ローン返済を継続する
- 任意売却の相談を金融機関に申し出る
- 返済計画の見直しを金融機関に申し出る
ここで、何も決定せずに問題を先送りにしてしまっては、問題を先送りにするだけではなく、味方にしておきたい金融機関相手に悪い印象を与えてしまいます。
滞納3~6ヶ月
金融機関や住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)から書類が届きます。これには「返済方法の変更」「民事再生の案内」「住宅の売却」の3つの提案が行われます。
このうちの1つ「住宅の売却」が任意売却を指しています。ここまで来てしまった場合、競売まで残された時間はあまりないため、早い決断が必要です。
任意売却を決断したなら、すぐに金融機関に相談を行うと同時に連帯保証人の承諾も得て下さい。
相談を行います
不動産業者
同グループ内に金融機関がある、任意売却専門窓口を持つ不動産業者が良いです。
弁護士、司法書士
債権者の交渉を中心に行ってくれるため心強いです。
任意売却専門業者
専門知識が高く頼りになります。しかし、悪徳な業者もいるため依頼には十分注意が必要です。
日本再生支援機構
住宅ローン滞納などのための相談窓口で、任意売却の専門家も存在している専門機関です。
物件の査定とスケジュールの作成
債権者の合意を得ることで、不動産業者によるマンションの査定を行います。複数の不動産業者への査定を行うことが適正価格の割り出しに有効です。また、任意売却である事情を考慮した上での売却スケジュールを提案してもらうと良いでしょう。
媒介契約書の締結
スケジュールと価格に納得できた業者との間に、媒介契約を行います。これにより業者は、顧客の代理人として債権者との交渉も行うことができます。
債権者との交渉と合意
不動産業者により債権者である金融機関と交渉を行ってもらいます。ローンの返済・管理費・税金などの滞納金・仲介手数料・引っ越し費用など、売却代金の割り振りを債権者である金融機関と交渉し合意を得ます。
マンションの任意売却
レインズへの登録・不動産情報ポータルサイトへの掲載、他社告知・不動産広告による販売活動を開始します。購入希望者が決定し次第、条件を踏まえ合意得ます。売買契約を行い、売主である債務者が引っ越し準備を行います。
不動産引渡と代金決済
売買契約締結後、1~1ヶ月半後に代金決済・名義変更を行います。任意売却物件は、マンションの滞納した管理費の精算、滞納している税金、抵当権抹消、これらを清算後に決済・引渡となります。
引渡後に、今までの「滞納管理費を請求された」と、買主がトラブルに巻き込まれないよう、仲介業者は事前に確認を行う義務を負い契約を進行するのです。
任意売却の注意点
任意売却は、競売よりも条件が良いと言う程度の売却方法です。一般のマンション売却に比べた場合、まったく状況が違うことを理解する必要があります。
ブラックリストに掲載される
ブラックリストの掲載が任意売却の条件となるため、絶対に避けられません。
任意売却を行うには債権者の合意が必要
住宅ローンの債権者のみなら話し合いもスムーズに進みます。しかし住宅ローン以外の借入れの抵当権がついていた場合、全ての金融機関からの合意が必要となります。また、金融機関のシステム上、任意売却を行っていない金融機関もあります。
任意売却を行う際に連帯保証人の承諾が必要
連帯保証人とは、ローンの債務者が返済できなかった場合、本人に代わり返済義務を負う人です。任意売却後にローン返済を行っても、残債が出る場合には連帯保証人の承諾が必要となります。
連帯保証人の承諾を得られず、債務者が返済の対策を行えない場合には、競売が行われます。この競売では連帯保証人の承諾は必要ありません。
瑕疵担保責任の免責
月々のローン返済が行えず、ローンの返済後も残債を負うことがほとんどの任意売却では、瑕疵担保責任は発生しません。
瑕疵担保責任とは、引き渡し後に、見えない住宅部分に重大な問題があった場合の修復義務です。瑕疵担保責任が発生させないことにより、売却価格が抑えられた価格で設定されます。
手付金は債務者に渡らない
一般的に不動産売買の手付金は、売主が手にします。しかし、任意売却の場合は仲介不動産業者が決済時まで預かり、決済時に債権者へと渡すため、売主が自由にすることはできません。
任意売却はあくまでも競売の救済措置でしかないため、多くのデメリットがあります。任意売却を避けるためにも、住宅ローンの継続が返済不可能とわかった時点で行動しましょう。早く行動することで、より高く売却してくれる不動産業者を選択することができます。
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