マンションの瑕疵担保責任の範囲はどこまで?期間はいつまで?

マンション売却時は瑕疵担保責任という言葉を理解しておきましょう。言葉だけ聞いたことがある人はいるかもしれませんが、きちんと理解している人は多くないと思います。今回は瑕疵担保責任について、その範囲や期間を中心に解説していきます。

マンションを売却する際の瑕疵担保責任

マンションを売却するときに、売主が最も気をつけるべきことは瑕疵担保責任についてであると言っても過言ではありません。なぜなら、瑕疵担保責任が生じると、大きな損害が生まれる場合があるからです。

そんな瑕疵担保責任について、まずは「売主が負う瑕疵担保責任とは」、「瑕疵担保責任の範囲」の2点を理解しておきましょう。

売主が負う瑕疵担保責任とは

そもそも瑕疵とは、簡単にいうと「欠陥」のことです。売主は買主にマンションを売却するとき、欠陥があった場合は売主が責任を負うことがあります。責任を負うとは、瑕疵の補修費用を負担したり、最悪の場合は、契約時まで遡って売買契約が解除になったりすることもあります。

たとえば、マンションの壁に亀裂が入っており、外の音や冷気・暖気がその亀裂から流れ込んでくるとします。その亀裂が売主の瑕疵担保責任の範囲内と見なされれば、その亀裂を修理するための費用を売主が支払う必要があるかもしれません。もっというと、その亀裂が入ったことによる心理的な瑕疵として、損害賠償を請求されることさえあります。

ただ、建物に瑕疵があるリスクも、それが売主の責任になるリスクも大きいとは言えません。ですが、もし売主の責任になった場合は高額な費用負担になることもあるので、売主は瑕疵担保責任について良く理解する必要があります。

瑕疵担保責任の範囲

瑕疵担保責任の範囲に明確な規定はありません。なぜなら、その瑕疵が売主の責任による瑕疵なのかが分かりにくいという点と、そもそも瑕疵に該当するかは人によって異なるからです。

そこで、どのような事例が売主の瑕疵に該当したか、「給湯器故障」、「浸水被害」の2つの判例で解説します。この2例は実際に存在する判例です。

給湯器故障

この事例の概要は以下の通りです。

  • 中古マンション購入者が給湯器の交渉を訴える
  • 交換費用と給湯器が直るまでの入浴施設利用料を求める
  • 一部減額したものの概ね買主の主張が認められる

この事例の焦点は、築32年のマンションに備わっている給湯器故障の原因が、売主の瑕疵担保責任に当たるかどうかという点です。売買時に締結した「設備表」に、売主が給湯器に不備や故障はないという旨の記載をしていました。

その点などを加味されて、売主の瑕疵として認定され、交換工事費と近隣の入浴利用料の一部、合計32万円を売主が支払うという結果になったという事例です。

※参照URL:不動産適性取引推進機構
http://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/101-106.pdf

浸水被害

この事例の概要は以下の通りです。

  • 中古マンションを購入した買主がひび割れを発見
  • サッシや躯体部分のひび割れから浸水
  • 浸水によって寝具などが被害にあった
  • 告知がなかったとして損害賠償を起こす
  • ただし、損害賠償は認められずに買主の主張は全て棄却

これは、前項とは逆に買主の主張が認められなかったケースです。その理由は、まず売主がひび割れを知っていて故意に買主に伝えなかったという証拠が不十分である、要は、売主に悪意がなかったということです。

次に、築38年という築古マンションであり、物件には摩耗や損耗がある点をお互い合意の上で取引しています。つまり、今回のひび割れは築38年のマンションの取引を加味すると、売主の瑕疵担保責任とは言えないと判断したということです。

※参照URL:不動産適性取引推進機構
http://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/101-106.pdf

事例から言えること

前項の2例から、建物の瑕疵が売主の責任かどうかはケースバイケースであるという点が分かったと思います。たとえば、1例目は仮に設備表を取り交わしていなかったら、損害賠償金はもっと少なくてすんだかもしれません。

また、2例目は築10年程度の物件であれば、売主の瑕疵担保責任が認められた可能性が高いです。この2例目だけをピックアップして「ひび割れに関しては売主の責任にはならない」とは当然言えないので、瑕疵担保責任の範囲を明確に決めることはできません。

瑕疵担保責任の期間について

つづいて、売主が瑕疵担保責任を負う期間について解説します。期間については、売主が宅建業者か個人かによって異なります。この2つを理解しておかないと混乱してしまうので、2つのケースを理解しておきましょう。

売主が宅建業者

このケースは主に新築マンションを売却する場合なので、個人のマンション売却には関係ありません。そのため、簡単に概要だけ解説します。売主が宅建業者の場合、瑕疵担保責任は「原則は引渡から最低2年」、「新築物件は主要構造部分の瑕疵担保責任を10年負う」ことになります。

次項で売主が個人の場合も解説しますが、売主が宅建業者のときの方が瑕疵担保責任の期間は圧倒的に長くなります。

個人が売主

個人が売主の場合の瑕疵担保責任の期間は、売主・買主間で取り決めます。なぜなら、個人が売主の場合は宅建業法などではなく民法が優先され、民法の規定は前項の新築マンション売却時並みに厳しいので、売主の負担が大きくなりすぎてしまうからです。

一般的な取り決め

一般的な取り決めとしては、引渡後から半年~2年程度は瑕疵担保責任を負うことが多いです。期間は買主と話し合って決めますが、通常は仲介に入る不動産会社が話をまとめます。

期間は不動産会社次第ではありますが、築年数によって長さを変えることが多いです。つまり、築浅であれば瑕疵があるリスクが小さいので短め、築古であれば瑕疵があるリスクが大きいので長めの期間に設定します。

買主が宅建業者

中古マンション売却時の瑕疵担保責任で覚えておくことは、買主が宅建業者の場合です。この場合には、売主は瑕疵担保責任を負いません。プロである宅建業者が購入するので、瑕疵があれば自分で確認をできるからです。

ただ、売主が瑕疵に気づいているにも関わらずに買主に告知しない場合には、売主が瑕疵担保責任を追及されることがあります。いわゆる、「悪意有過失」の瑕疵といわれ、期間の定めに関係なく瑕疵担保責任を負います。

瑕疵担保責任の注意点

上述した点を踏まえ、以下の点に注意しましょう。

  • 瑕疵と思われる箇所は不動産会社に必ず伝える
  • 瑕疵担保責任の取り決めはキチンと決める
  • 設備表をつくり一つひとつ瑕疵がないかを買主と確認する

上記の点を理解しておくことで、瑕疵担保責任に関しては回避できます。中古マンション売却の際は参考にしてみてください。

このように、中古マンションの瑕疵担保責任の範囲や期間はケースバイケースです。特に、瑕疵担保責任の範囲は明確な規定がないので、少しでも不安があれば不動産会社に相談しましょう。そうすれば、売買契約前に告知するなど、事前の対応ができるかもしれません。