中古マンション売却時に戻ってくる(返ってくる)お金

中古マンションを売却するときには、手続きに伴う諸費用がかかります。しかし、一部のお金は返還されることもあります。返還されるのは金融機関だったり、買主だったりと、それぞれ異なるので前もって知っておきましょう。今回は、中古マンション売却時に戻ってくるお金について詳しく解説します。

住宅ローン保証料

まず、住宅ローン保証料について解説します。借入期間やローンの残存期間、支払っている保証料にもよりますが、中古マンション売却時に戻ってくるお金として、住宅ローン保証料が最も高額になるケースが多いです。

住宅ローン保証料とは?

住宅ローン保証料とは、住宅ローンを組むときに保証会社に支払っているお金になります。保証会社は昔でいう保証人と同じ役割で、借入者がローンを滞納したときに、残債を金融機関へ借入者の代わりに支払います。

簡単にいうと、借金を肩代わりしてくるのが保証会社であり、肩代わりしてくれる対価として保証料を支払うということです。

保証料は金融機関によって異なる

保証料は金融機関によって異なります。一昔前までは、「借入金額×2%」程度を保証料として設定している金融機関が多かったです。つまり、3,000万円借入した場合には、保証料として60万円支払っています。

しかし、最近では保証料無料の金融機関もあります。そのような金融機関は、手数料が高いケースが多いです。仮に、保証料が無料の金融機関で住宅ローンを組んでいた場合には、当然ながら保証料の返還はありません。

保証料の注意点

前項のように「借入金額×2%」の金融機関で、3,000万円のローンを30年の借入期間で組んでいたとします。その場合は、60万円の保証料を支払っているということですが、これは30年間保証した場合の話なので、残存期間が減っていれば、返還される保証料も減ります。

仮に、このケースですでに住宅ローンを15年間返済しているとすると、返還される保証料は「60万円×15年/30年=30万円」となります。つまり、住宅ローンの返済期間が減っているほど、返還される保証料も減っているということです。

言い換えると、このケースの場合は「15年間は保証したので、その15年分の保証料は返還しません」ということでもあります。

さらに、中古マンション売却時は残債を一括返済しますが、一括返済するときには手数料がかかることが多いです。そのため、保証料は丸々返還されるわけではなく、その手数料を差し引いた額が返還される点は覚えておきましょう。

いずれにしろ、金融機関や借入者の状況によって返還額は異なるので、早めに金融機関へ確認することをおすすめします。

火災保険料と地震保険料

次に、火災保険と地震保険も返還されます。火災保険は住宅ローンを組むと必須加入ですし、住宅ローンを組んでいなくても多くの方が加入しています。一方、地震保険は加入義務がなく、地震保険より高額になるので加入していない人もいます。

火災保険の期間

火災保険は2015年9月までは、最長で36年の期間加入できました。つまり、マンション購入時に「36年分の火災保険料を一括で支払う」という状況もあり得ました。

しかし、2015年10月以降は、火災保険の加入期間は最長10年までになったので、マンション購入時期によって組んでいる期間は異なるはずです。また、保険会社やプランによっても火災保険は異なるので、マンション売却時は保険会社に連絡して確認してみましょう。

火災保険と地震保険の金額

仮に、損保ジャパン日本興亜で、火災保険と地震保険の見積もりを取ってみます。東京都でマンションを購入し、家財保障なし、10年間の契約の場合は以下の通りの保険料です。

火災保険のみ:41,900円(10年間)

地震保険つき:53,600円(地震保険は1年分)

上記の計算だと、地震保険は1年で11,700円になります。また、火災保険は「すまいの総合保険」と呼ばれるくらい、火災だけなく家に関する色々なリスクを回避しています。そのため、たとえば自然災害や盗難などをカバーしなければ、上記の金額よりももっと安くなります。

火災保険と地震保険は、共に残存期間と支払いずみ保険料によって、返還金額は異なります。解約手続きもあるので、売買契約の締結前に保険会社に連絡してみましょう。

※参照URL:損保ジャパン日本興亜 
http://web.sjnk.jp/kasai/simulation/index.html?_ga=2.61727468.1948276451.1506586141-1505003452.1506586141

固定資産税

つづいて、固定資産税の返還です。固定資産税の返還については、不動産会社によっては案内しない場合もあります。なぜなら、道理的には返還されるのが通常ですが、返還が義務ではないからです。そのため、中古マンション売却時に不動産会社から提示されなければ、問い合わせてみましょう。

固定資産税とは?

そもそも固定資産税とは、不動産を所有している限りその所有者にかかる税金です。正確にいうと、固定資産税のほかに都市計画税も徴収されるため、固定資産税・都市計画税が返還されます。

固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者、つまり所有権登記されている人にかかる税金です。1月1日に物件を引渡すことはまずないため、どのようなケースでも売主がその年の固定資産税を支払っています。

固定資産税の返還

上述したように、固定資産税はその不動産の所有者に支払い義務があります。つまり、その物件の引渡を終えた時点では、支払い義務は売主から買主に移るということです。しかし、前項のように固定資産税は売主に1年分請求され、売主がそれを支払うことになります。

引渡日を境に、買主が所有している期間を案分して、固定資産税の精算分を買主から支払ってもらうということです。

たとえば、固定資産税が24万円のマンションを売却したとします。このマンションの引渡日が、10月1日に行われたとしたら、その日から所有権は売主から買主に移転しています。つまり、その年の4分の1にあたる、10月1日~12月31日までの期間の固定資産税は、買主に支払い義務があるということです。

そのため、「24万円×1/4」の計算をして、買主は6万円を固定資産税精算分として売主に支払う必要があります。この金額は、引渡時に物件価格と一緒に振り込むことが多いです。

マンションの管理費・修繕維持積立金

最後に、マンションの管理費・修繕維持積立金の返還です。マンションは、ランニングコストとして、毎月管理費・修繕維持積立金がかかります。この金額は、基本的に翌月分を前もって支払う「先払い方式」のマンションが多いので、引渡日によっては1か月分が返還されます。

たとえば、3月10日に4月分の管理費・修繕維持積立金を支払ったとします。その状態でマンションを売却して、3月末日に引渡したとします。このとき、4月にはそのマンションの入居者ではないので、4月分の管理費・修繕維持積立金は丸々返還されるということです。

当然、4月分は新たな入居者である買主が支払うことになります。これらの手続きは、マンション売却の旨を、管理組合宛て書類として提出する必要があります。この書類は管理規約集の中にあるので、マンション売却前にチェックしておきましょう。

このように、マンション売却時には返還される金額もあります。いずれの金額も、人によって異なるので、事前に問い合わせ確認をしておきましょう。返還金額が大きいのであれば収支も変わってくるので、その点を加味した上でマンション売却計画を立てる必要があります。