築年数10年・20年・30年のマンションの価格差はどれくらい?

マンションを購入するなら、決められた予算の中であってもなるべく新しいものが欲しいと考えられていると思われがちです。しかし1度でも人が住んでしまったマンションは、その時点で価格は1割ほど下がり、その後1年ごとに1~2%ほど価格が下がります。そんな特徴を持つ不動産物件は、どの時期に売却する事が得と言えるのでしょうか?

築10年のマンション

良いマンションかどうかを見極めるためには、築10年を過ぎたあたりが適当だと言われています。立地や価格は、マンションを購入するにあたり当然大切です。

しかし、実際に居住するにあたり住み心地など、マンション購入のために重要と言える要素はさまざまです。その「良いマンション」「悪いマンション」の要素が明らかになるのが10年目からだと言われています。

築10年のマンション価格

築10年でのマンション価格の下落幅の平均は25%です。

例えば、購入時4,000万円ならば築10年で3,000万円、つまり25%ダウンが基本となります。

しかしマンションの立地が人気の場所にある場合、値下げ幅は小さくなります。このほかマンションの価格は「環境」「設備」なども影響します。

築10年でわかるマンションの居住傾向と価格

マンションは、売却が行われる周辺環境と部屋の「間取り」「設備」「劣化」が価格に影響すると考えられています。しかし、マンション住人の意識も大きく影響します。

管理組合により共用部分や周辺環境の「管理」「維持」が十分に行われていれば、内覧希望者に良い印象を与えられます。しかし、マンション全体の使い方が乱暴で衛生面的に悪い環境だった場合、内覧者の購入意欲が減退してしまうのです。

マンションは、子持ち世帯の住民が多ければ子持ち世帯が居住しやすく、高齢世帯が多ければ高齢世帯の人が入居しやすくなる傾向があります。同様にマンションが外国人専用とされた場合、外国人が集まりやすくなるのです。

この居住層の違いは、共用部分の使い方にも大きな変化となって現れます。

10年経過したマンションは、どのような人達が居住しているかを知る事ができます。これによりターゲットとなる人達が決定されると同時に、価格にも影響があるのです。

築20年のマンション

築20年を経過したマンションは、マンションの条件次第では早い段階で売却を考える方が良いでしょう。築20年以上の物件を売却する時は、人気地域やよほどの好条件でない限り、希望の売却価格を下回ってしまう覚悟が必要です。そのため周辺のマンション相場を調べる事が重要です。

不動産の価値が上がっているか下がっているかによって、今後の価格の方向性に大きく影響するためです。購入した時は高額であっても、売却時には大きく価値が下がることもあります。購入価格にこだわり過ぎると、売却の機会を逃してしまうため注意が必要です。

「購入には値引きが必要」というものの、購入意欲のある人が現れた場合、価格交渉にも応じた方が良いですが、相場から大きく離れた場合は、要求に応じる必要はありません。

築20年のマンション価格

一戸建て住宅であれば築20年もたてば建物価値は、大切に使っていない限り0に近くなります。しかし、マンションの場合は、税法上の耐用年数は「鉄筋コンクリート47年」「鉄骨造34年」です。

20年の間、土地相場に大きな変化がない場合、築20年で新築の半分ほどが大まかな売却価格となります。

築20年のマンションの大規模修繕と価格

マンションの築年数が古くなると「長期修繕計画」が計画され、およそ5年おきに見直されるのが一般的です。

長期修繕計画の内容は以下です。

  • 修復計画の見通し
  • 修復時期
  • 修復費用の積立金

売主や管理組合が、修繕積立金を滞納している場合には、マンションの購入者に大きな負担が生じる事があります。そのため積立金の滞納状況も大きく価格に影響します。

築20年以上を経過しても、大規模修繕が一度も実施されていなければ注意が必要です。大規模修繕の理想的なサイクルは、一般的には10年~15年に一度とされています。建物の構造・外壁・屋上・防水、手すり・扉、共用部である給排水管などが、大規模修繕や定期的にメンテナンスされているかどうかが販売価格に大きな影響を与えます。

そのため、マンションの販売価格は「管理」「修繕」「劣化」により大きく変化します。

新しく入居する住人の居住意識が強くても、過去のメンテナンスや修繕によって外観からは予測できない部分の劣化が進んでいる可能性もあります。それらが価格に大きな影響を与える事もあるのです。

築30年のマンション

日本における住宅の平均寿命は、構造や種類に関係なく30年程度と言われてきました。この30年は構造や種類を問わず、一定期間に取り壊された築年数の単純な平均年数です。それらの住宅は、建物の「寿命」で取り壊された訳ではありません。

最近の研究は、より実感値に近い寿命が算出され、2011年時点の推計では、木造専用住宅の一戸建てが58年、RCつまり鉄筋コンクリート造のマンションが60年となっています。築30年の中古マンションを購入した場合であっても、建物寿命まで30年程期待できると言えます。

このような理由により、築30年以上のマンションでも十分に売却ができます。購入希望者が1組見つかれば売却が完成する訳ですから、決して難しくはないでしょう。築30年以上経過している中古マンションは、しっかり管理されてきた結果が実績として蓄積されているのです。

そのため今後の資産価値の推移が予測しやすいことから、新築や築浅の物件より、はるかにリスクが低く安心して購入できるという考え方もできます。

築30年のマンション価格

築30年になると平均で6割以上の価格が減少するとされています。

4,000万円で購入したマンションが、1,600万円の価格で売却される計算になります。

築年数が31年を超えている物件は、築年数という劣化の影響を受け価格は低下するものの人気が集まっています。実際、築10年以内の物件成約件数が成約件数全体の17%程度なのに対して、築31年以上の成約件数は25%に達しているのです。このように築30年以上のマンションは、現在でも価値が認められています。

築30年のマンションが価格に与える影響

築30年以上のマンションは、高度成長期時代に建設されており、大量の分譲マンションが存在しています。いくら築30年以上のマンションに注目が集まっているとはいえ、商品となるマンションは大量に存在しているのです。そのため、売却を考えるなら早い段階に売り出し、競争に勝ち残る必要性があります。

築30年以上のマンションにのみ共通するデメリットは、耐震性の基準が今ほど厳密でない時代のマンションであるため耐震性が心配という点です。

そんなデメリットの影響も意に介さないメリットも存在しているのが築30年以上のマンションなのです。高度成長期時代のマンションは、立地の良い場所に優先的にマンションが建設されているのが特徴です。新しいマンションよりも、築30年以上のマンションは、人気の場所にあるマンションを安く購入できると魅力的な存在とされています。

まとめ

築年数に関わらず住まいは、部屋の経年劣化や設備面に傷みが現れます。そのため売却前にリフォームを行い、売却時の広告にも「リフォーム済」をマンションの推しとしている場合も多いです。

しかし実際には、古いマンションを購入する人達は、リフォーム・リノベーションを行う事を目的としている人もいます。それを無視し、売却主が適当に安くキレイに見えるようにリフォームし、売却価格を高くすることで購入者の幅を狭めてしまうのです。

リフォームを行い高額で売りだすよりも、リフォームを行わず低い価格設定で売り出しを行う方が良いでしょう。

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