マンションを売却するときは、必ず自分の希望通りに売れるとは限りません。そんなときでも、マンションを所有しているだけでかかる費用があり、所有者としては経済的に厳しい状況になることもあります。今回は、マンションがどうしても売れないときの対応を解説します。
マンションには所有権が登記されている
マンションをはじめ、不動産には「権利」があります。通常のマンションであれば、「所有権」という権利があり、その人が建物、及び土地を所有しているという扱いになります。土地が借地権という、「借りている」状態であれば「賃借権」になりますが、いずれにしろ所有者の権利は登記されています。
基本的には全ての不動産には所有者がおり、きちんと登記されていることによって、自分の所有物であるという証明ができます。
所有権の放棄はできるのか?
いざマンションを取得しても、色々な事情によって手放さざるを得ない状況になることもあります。そのときにはマンションを売却に出しますが、市況や競合環境によっては中々マンションが売れないこともあるので、どうしても早く手放したい人は困ってしまいます。
このようなときでも、基本的にマンションの所有権を放棄するという選択肢はありません。つまり、何とか自分が主導してマンションを売却しない限り、マンションを手放すことはできないということです。
マンションを迅速に手放す方法
前項のように、マンションの所有権を放棄することは基本的にできません。そのため、マンションが売れずに困っていて、どうしても迅速に手放したいときは、不動産の買取を行いましょう。買取にはメリットもありますがデメリットもあるので、その点を良く理解した上で選択することが必要です。
買取のメリット
そもそも買取とは、不動産会社が買主を探して仲介するのではなく、不動産会社自らが不動産を購入することをいいます。そんな買取をするメリットは、「決済が早い」、「売却活動がない」の2点です。
上記2点のメリットは、どうしてもマンションが売れず手放す際に、買取を選択する場合のメリットになります。
まず買取のメリットは、何よりも不動産会社が購入するので決済が早いため、売却スピードが非常に早くなるということです。
不動産会社は査定をしてすぐに価格を提示するので、売主がその価格を受け入れれば、即日申込を受けることもできます。仮に、査定日に申込を受け、その2日後に契約をして1週間後に決済すれば、査定から決済まで2週間かからずに完了できます。
また、上記のような流れになるので、見学者が家に来ることもなく、売却活動をする必要もありません。売主の手間もかからず迅速に売却が完了するので、その点が買取の大きなメリットと言えます。
買取のデメリット
一方で、買取をすると相場価格の7割~9割ほどまで、売却価格が落ちしまう点がデメリットです。なぜ価格が落ちるかというと、不動産会社はマンションを買取った後に再販するからです。
マンションは購入するときも再販するときも、諸経費や税金がかかってきます。相場価格で買い取ると、相場価格以上で販売することになるので、不動産会社としてはメリットがないため、相場価格以下で買取ります。
売れないマンションを所有し続けるデメリット
前項のように買取には価格的なデメリットがあります。しかし、売れないマンションを所有し続けるときも、「費用がかかる」、「空き家の場合リスクが増す」のようなデメリットがあります。
特に、2点目の「空き家」の状態で放置すると、非常に大きなデメリットがあるので十分注意しましょう。
費用がかかる
マンションを所有していると、以下の費用がかかってきます。
- 住宅ローン支払い
- 固定資産税、都市計画税
- 火災保険や地震保険
- 管理費や修繕維持積立金
上記の金額は物件によりますが、所有者にとって大きな負担になることがあります。この負担金額に耐えられずにマンションを手放す人もいます。
住宅ローン支払い
最も大きな負担金額となるのは住宅ローンの支払い額です。もちろん、現金でマンションを購入している人は関係ありませんが、住宅ローンでマンション購入している人は多いです。また、変動金利を組んでいると、当初の支払い額から増額している場合もあります。
固定資産税、都市計画税
マンションは所有しているだけで、固定資産税と都市計画税がかかります。この税額はそのマンションの評価額によって変わりますが、年間10数万円以上の税額になることも珍しくありません。
火災保険や地震保険
住宅ローンを組んでいると火災保険は必須加入になりますし、大抵の人はリスクヘッジで火災保険には加入します。また、地震保険も付保すると、さらに保険料は上がってきます。
火災保険は一括で支払っている場合がほとんどですが、地震保険の年払いは数万円程度することもあるので負担になりやすいです。
管理費や修繕維持積立金
マンションは住んでいようがいまいが、必ず管理費と修繕維持積立金があります。しかも、特に修繕維持積立金は増額する場合がありますし、一時金を徴収されるケースもあります。
このように、マンションは所有しているだけで色々な費用がかかってくるので、所有し続けると費用面でデメリットになることがあります。
空き家の場合リスクが増す
所有しているマンションが空家の場合は、さらに以下のリスクが増します。
- 空き家管理の費用がかかる
- 防犯上のリスク
- 衛生面のリスク
上記3点のリスクは、売却金額にも関わってくるのできちんと理解しておきましょう。
空き家管理の費用がかかる
空き家として放っておくと劣化するので、空き家管理として以下の費用を支払うことがあります。
- 清掃費用
- 換気費用
- 郵便受けの資料の処理費用
上記は「空き家管理」として多くの不動産会社が行っています。不動産会社や空家管理の内容にもよりますが、月2回程度で月々1万円前後の費用がかかります。
防犯上のリスク
また、オートロックのマンションであっても、空き巣などに入られるリスクはゼロではありません。
特に、前項で解説した「空き家管理」を行っていない場合は、どうしもて郵便受けに郵便物が溜まってしまいます。それを見られることで、自分の家が留守だと分かってしまう場合があり、その点も空き家を放置するリスクと言えるでしょう。
衛生面のリスク
こちらも空き家管理をしていない場合ですが、定期的に清掃や換気をしないと、特に水まわりはカビが生えたり、排水口からの臭いが充満したりします。カビは一度生えたら中々除去できませんし、排水口の臭いはクロスなどに付いてしまうこともあります。
このような状態になってしまえば、そのマンションを売る時にも見学者の印象は良くありません。そのため、相場より売却価格が下がるリスクもあり、大きなデメリットと言えます。
まとめ
マンションがどうしても売れなくても、全てを放棄するわけにはいきません。基本的に所有者が売主となり、マンションの売却手続きをするしか選択肢がないということです。
マンションを所有し続けるのも、費用面をはじめとした大きなリスクがあります。メリットとデメリットを見極めた上で、買取という選択肢を頭に入れておくことも重要です。