ホームステージングサービスはマンション売却に有効なのか?

中古マンションを売却するときには、ホームステージングサービスというものがあります。ホームステージングサービスは、中古マンションを高く・早く売却することにつながるサービスです。ただ、このサービスにはメリット・デメリットがあり、もし利用する場合にはその点をしっかり理解しておく必要があります。

今回は「ホームステージングサービスはマンション売却に有効か?」というテーマで、メリット・デメリット、そしてホームステージングサービスを実施すべき物件などの紹介をします。

ホームステージングサービスとは?

ホームステージングサービスとは、中古マンションを売却するときに、そのマンションに家具や小物などを搬入して売却する方法です。つまり、その部屋に合ったテイストの家具や小物をコーディネートすることで、その部屋の印象を良くするという狙いがあります。

通常は、中古マンションの売却が完了すれば、その家具はホームステージングサービスを行った会社が引き上げます。

価格はどれくらいするのか?

前項のように、ホームステージングサービスは家具などの備品を搬入し、そのうえコーディネートまで依頼します。費用としては安くて5万円前後、高ければ20万円~30万円以上する場合があります。また、部屋全体のコーディネートをする場合には、売却価格の1~2%という設定のプランもあります。

一方で、ある条件を満たせばホームステージングサービス料金は無料の場合もあります。以下に記載した価格例は会社によって異なるので、参考程度に認識ください。

5万円前後のプラン

5万円前後のプランは、大型家具の搬入はなく小物類をコーディネートするのが中心です。ソファのクッションを替えたり、水まわりに小物をセッティングしたりして見学者の印象を変えます。

20万円~30万円のプラン

20万円前後の場合は、前項の5万円前後のプランにリビングの家具をセットするイメージです。また、30万円前後になると、キッチンやダイニングまで網羅したプランになります。

物件価格の1~2%のプラン

このプランは基本的に全部屋に家具や小物を搬入するプランです。新築マンションのモデルルームのように仕上がるので、見学者の印象はガラっと変わります。

費用がかからないケース

「売却価格が○○万円以上」、「専属専任媒介契約を結ぶ」、「査定額から○○%上げて売り出さない」など、仲介する不動産会社が条件を指定して、それに従うとホームステージングサービス料金がかからないことがあります。

このサービスは実施していない会社もあるので、事前に確認しておきましょう。

サービスを受ける際の流れ

ホームステージングサービスを行う際の流れは以下の通りです。

  • 物件調査およびヒアリング
  • ホームステージングサービス内容の提案
  • 物件の清掃後に搬入
  • 物件写真撮影
  • 家具の引き上げ

また、居住中の場合には、元々あった家具を一時的に預かるケースもあり、その場合は預かる費用もかかります。

ホームステージングサービスのメリット・デメリット

ホームステージングサービスを利用するどうかは、メリット・デメリットを比較して決めましょう。ホームステージングサービス自体は日本ではメジャーとは言えませんが、欧米では一般的です。つまり、欧米ではそれだけ効果があると認められています。

ホームステージングサービスのメリット

ホームステージングサービスのメリットは「集客アップにもつながる」、「検討者の印象が良くなる」という点です。

ホームステージングサービスは成約率アップだけでなく、実は集客力もアップします。なぜなら、家具や小物などを搬入した室内写真を広告に載せることで、広告を見た検討者の見学が増えると予想されるからです。

今は紙媒体の広告だけでなく、ネットの広告も主流になってきています。ネット広告は画像の差し替えが楽ですし、画質も良いので、ホームステージングサービスでグレードアップした部屋は、より印象の良い部屋になるということです。

また、当然ながら見学者の印象は良くなるので、検討者の成約率アップにつながります。中古物件で一番懸念されやすい「劣化感」が、ホームステージングサービスにより軽減されるからです。

ホームステージングサービスのデメリット

ホームステージングサービスのデメリットは、やはりコストがかかるという点です。3,500万円の物件を売却する場合、部屋全体をホームステージングサービスするときには、物件価格の2%である70万円ほどのコストがかかることもあります。

しかし、ホームステージングサービスを実施したからと言って、売却価格に70万円分上乗せできるかはわかりません。上乗せできなければホームステージングサービスの分が赤字になるので、結果的にホームステージングサービスは失敗ということになります。

このように、コストがかかりそれに見合った効果が得られるかが不明な点は、ホームステージングサービスのデメリットと言えるでしょう。

ホームステージングサービスを利用すべき物件

上述したメリット・デメリットを踏まえ、ホームステージングサービスが比較的に成功しそうな物件は、以下のような物件です。

  • 競合物件に築浅物件が多い
  • 室内が劣化している物件
  • 利用料金が無料になる物件

しかし、必ず成功するとは言い切れませんので、実際にホームステージングサービスを実施する会社と相談して見極めましょう。

競合物件に築浅物件が多い

競合物件に築浅物件が多いということは、室内の印象が良い物件が多いということです。そうなると、相対的に自分の物件の印象が悪くなるので、ホームステージングサービスをすることで、相対的に悪くなる印象を払拭できるかもしれません。

また、ほかの物件より築年数が古いということは、売却価格も安いことが多くなります。そのため、ホームステージングサービスすることで「価格は安いけど室内がきれい」という好印象を持ってもらえる場合もあります。

室内が劣化している物件

室内が劣化している物件も、前項と同じような現象が起きます。つまり、室内が劣化していることで、周辺物件よりも印象が悪くなるデメリットを、ホームステージングサービスで解消できるということです。

特に、「室内環境の良さ」や「きれいさ」を求める住環境エリアの場合は、ホームステージングサービスの効果は高いでしょう。なぜなら、そのようなエリアは室内が劣化していることが、大きなデメリットになりやすいからです。

利用料金が無料になる物件

上述したように、ホームステージングサービスの料金が無料になるのであれば、実施した方が良いでしょう。もちろん、効果があるかは不明なので、搬入・搬出の手間がかかりますし、提案書をチェックしたり打ち合わせしたりする時間もかかります。

そのような手間はかかるものの、やはり集客増・成約率アップのメリットがあるホームステージングサービスが無料できるのは、大きなメリットです。

基本的に、ホームステージングサービスは費用対効果を見極めて実施してください。マンションが高く・早く売れる場合もありますが、コストがかかる点はデメリットです。上述したホームステージングサービスに向いている物件を参考にしながら、サービスの利用を検討すると良いでしょう。