マンションの査定価格(金額)はどうやって決まるのか?

マンションを売却するときには、不動産業者に査定してもらいます。査定することで、そのマンションが大体どのくらいの金額で売却できるか分かってくるからです。今回は、そんなマンション査定価格はどのように決まるかを詳しく解説していきます。

マンションの査定方法

では、はじめにマンションはどのように査定するのかを解説します。結論からいうと、不動産の査定方法である以下3つのうち、取引事例比較法を利用します。

  • 取引事例比較法
  • 原価法
  • 収益還元法

そのため、取引事例比較法をメインに解説し、原価法と収益還元法は補足として解説します。

取引事例比較法

取引事例比較法とは、周辺で成約した事例をもとに査定額を算出する方法です。流れとしては以下のようになります。

  1. エリアを絞って物件を検索
  2. 条件(広さや築年数など)を合わせる
  3. ピックアップした物件を査定する物件と比較する
  4. 不動産業者の判断で上記を基に査定する

取引事例比較法は、一般的にはこのような流れになります。上記のように、参考にする物件はどの業者もほぼ同じですが、そこから査定額をどうするかの判断は異なります。そのため、不動産業者によって査定額が異なるというわけです。

周辺物件はどのように探しているか?

不動産業者はレインズというネットワークシステムに入ることができます。レインズとはReal Estate Information Network System、つまり不動産流通標準情報システムの略称のことで、売り出し物件や過去の成約事例がストックされているネットワークシステムです。

日本で取引されている中古物件の大半はレインズに登録されているので、不動産会社は大半の不動産情報を把握することができるということです。不動産業者は主にレインズから物件情報を得ていて、それを査定の参考にしています。

事例の種類

査定額の参考にする事例の種類は、成約事例と売り出し事例があります。この中では、主に成約事例を参考にして、売り出し事例は参考程度に見ます。なぜなら、中古物件は値引き交渉が多いので、実際は売り出し事例の価格よりも安く成約することもあるからです。

そのため、成約事例を参考にしないと実際に売却した正確な金額が分からないので、主に成約事例を参考にします。

自分達で調べられるか?

先ほどいったように、不動産業者はレインズから情報を得ています。ただ、レインズは宅建業者しかアクセスできないネットワークシステムなので、一般の人は閲覧できません。ですが、同じような情報を「REINS Market Information」、「土地総合情報システム」のサイトから閲覧できます。

上記のサイトは、一般の人でも過去の成約事例を調べることができます。特に、REINS Market Informationは不動産業者が閲覧するレインズとほぼ同じ情報なので、査定前に見えておくと良いでしょう。

土地総合情報システムは、国土交通省が運営するサイトです。ただ、こちらのサイトは成約者へのアンケートがデータベースなので、レインズとは多少情報が異なる場合があります。

※参照URL:REINS Market Information
http://www.contract.reins.or.jp

※参照URL:土地総合情報システム
http://www.land.mlit.go.jp/webland/

原価法

つづいて、原価法について解説します。原価法は、主に一戸建ての建物部分を査定するときに利用されるので、マンションではほぼ関係ないと思ってください。原価法の仕組みを簡単にいうと、今同じ家を建築したときの費用を計算して、その費用から劣化した分を差し引くという求め方です。

そのため、計算式は「再調達原価×{(耐用年数-経過年数)÷耐用年数}」になります。再調達価格とは、その家を今建築したときの金額で、構造などで自動的に決まってきます。耐用年数も同じく不動産の種類によって決まっているので、詳しくこちらの資料を確認ください。

このように、仮に原価法を利用して査定金額を算出するとしても、決まっている計算式に単純に当てはめるだけです。そのため、特に計算式を覚える必要はなく、仕組みだけ覚えておきましょう。

※参照URL:再調達原価
http://www.mlit.go.jp/common/001033819.pdf

※参照URL:耐用年数
https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34354.php

収益還元法

収益還元法は、主に投資用不動産に利用される査定額です。この査定法は収益から逆算する査定方法であり、計算式は「1年間の純利益÷還元利回り」になります。

1年間の純利益とは、「年間賃料収入-1年間の経費」で算出される金額で、還元利回りとは、自分がその物件で得たい利回りのことです。

たとえば、1年間の純利益の予想が160万円の物件があり、還元利回りの希望が6%だったとします。その場合は、「160万円÷6%」という計算になり、この物件の査定額は約2,666万円となります。

ちなみにこの求め方は「直接収益還元法」という方法であり、これとは別に「DCF法」という査定方法もあります。DCF法は、直接収益還元法に将来的な売却益を加味して計算する方法です。

机上査定と訪問査定の違い

では、マンションの査定額の算出方法が分かったところで、次は机上査定と訪問査定の違いを解説します。査定の流れとしては、査定依頼をしたら不動産業者が机上査定をします。その後に、訪問査定をするという流れです。

机上(簡易)査定とは

机上査定とは、読んで字のごとく机の上で査定額を算出することです。つまり、実際にマンションに訪問せずに、前項で解説した取引事例比較法をメインに査定額を算出します。

机上査定結果は、早ければその日のうちに返答がくることもありますが、平均すると査定依頼から1~2営業日程度でしょう。いずれにしろ、査定結果のバックは早い上に、周辺の成約情報等も知ることができるので早めに行って損はないです。

机上査定は、一般的に複数社に依頼します。なぜなら、上述したように、机上査定の金額は不動産業者によって異なるからです。その異なる机上査定額の根拠を聞き、その根拠が最も説得力のあった不動産業者に自分のマンションの売却を依頼しましょう。

訪問(現地)査定とは

つづいて、訪問査定について解説します。訪問査定は、机上査定を行った後に依頼するもので、机上査定で依頼した不動産業者全てに依頼するわけではありません。もちろん、机上査定で依頼した業者全ての訪問査定を依頼しても良いですが、手間がかかるので2~3社程度に絞った方が良いでしょう。

訪問査定は、不動産業者の営業担当者が実際に室内や共用部分を見学します。その上で、机上査定の金額を精査し、最終的な査定金額を算出するという流れです。

机上査定額と異なるか?

机上査定金額と訪問査定金額が大幅に違うことは少ないです。多くの物件は机上査定金額とほぼ同額で提示されます。ただ、たとえば以下のような状況のときには、机上査定金額よりも金額が下がる場合があります。

  • 想定よりも眺望が悪い
  • 想定より陽当たりが悪い
  • 室内が非常に劣化している
  • 認知していなかった嫌悪施設があった
査定金額はどのくらいで出るか?

多くの不動産業者は、その場で査定結果を出します。ただ、前項のように机上査定額よりも変化する要素があれば、一度会社に持ち帰って検討し直す場合もあり、仮にその場で訪問査定の結果が出れば、その日のうちに媒介契約まですることもできます。

まとめ

マンションの査定額は、基本的に取引事例比較法で決めます。そのため、不動産業者によって査定額が異なり、その査定額の根拠を比較することで優良不動産を見極めます。

優良不動産を見極めるためには、自分で成約事例を調べておくと良いでしょう。そうすると、何となく相場金額が分かり、不動産業者の話を理解しやすく、優良不動産の見極めにつながっていきます。