マンションは1,000万円単位の高額な商品なので、売却がスムーズに進まないこともあり、売却過程で売却価格を下げるという決断をする場合があります。
また、マンションを売り出したものの、もっと高い金額で売れると判断した場合は、あまり事例としては多くないですが値上げすることもあります。今回は、マンション売却価格の値下げ・値上げについて詳しく解説します。
売却価格を値下げする際のポイント
売却価格を値下げするときには、以下3点がポイントになります。ですが、値下げするかどうかのタイミングは、そう簡単にできるものではありません。値下げするのは最終手段であり、まず値下げ前にできることを実行しましょう。
- 値下げ前にできることはあるか?
- 値下げのタイミング
- 値下げ幅の決め方
値下げ前にできることはあるか?
まず、値下げ前に以下の点を確認しましょう。
- 広告は適正か?
- 不動産会社はきちんと営業しているか?
- 室内環境は良いか?
広告や接客、室内環境など、価格以外に改善がないかを探しましょう。マンション価格は1,000万円単位である分、逆にいうと値引きは10万円・100万円単位になります。まずは値引きしなくても売却が改善するような施策を行ってください。
そのためには、広告・不動産会社・室内環境の順でチェックしていきましょう。これは、問題点がある場合が多い順番になっています。
値下げのタイミング
値下げのタイミングは、自分が引渡したい時期によります。特に引渡時期を定めていない場合には、一旦3か月で完売するという前提で、1か月ごとに値下げを検討しましょう。そのときにチェックしたい要素は以下の点です。
- 集客はある?
- 検討者の声は?
- 競合物件の環境は?
上記3点は、次項の「値下げ幅」にもつながってくるポイントなので、必ず確認してください。これらの点を確認して、1か月ごとに、「値下げすることで検討客が増えそう」であれば、値下げという戦略は効果的と言えます。
集客はある?
マンションが売れないときには、そもそも集客に原因があるのかどうかが重要です。仮に、集客はあるのに成約に至っていないとします。その場合、「見学に来る」ということは、チラシの価格を見て、予算内と思っている人が多いということです。
このようなケースの場合は、売却価格に問題があるというよりは、上述した「案内の問題」や「営業の問題」などが、売れない原因である可能性が高いと言えます。このような状況は値下げを一旦待って、ほかの要素を改善して様子を見る方が良いです。
検討者の声は?
また、今まで検討してくれた人の生の声を聞きましょう。検討してくれたのであれば、営業担当者がある程度、話は聞けていると思います。その中で、物件を断る理由として、「価格が高い」という声が多ければ、値下げをしても効果はあるでしょう。
値下げを告知することで、もしかしたら過去の検討者が再検討するかもしれません。しかし、検討をやめた理由が「間取りがダメ」、「周辺環境がダメ」などであれば、売却価格を下げるだけでは、問題は解決しないかもしれません。
検討者の声を聞くことで、売却価格だけに問題があるのか、それ以外にも問題があるのか分かってきます。
競合物件の環境は?
また、1か月ごとに必ず競合環境を確認しましょう。なぜなら、競合環境が自分の物件の売れ行きに大きく影響しているからです。特に、以下のような状況のときは値下げしても効果が薄いです。
- 周辺の競合物件が低価格
- 割安な新築物件が分譲されている
- 周辺物件が値下げラッシュ
周辺に安い物件がある環境で自分の物件の価格を下げると、競合物件と差別化ができず、結局ずるずると値段は下がっていきやすいということです。引渡時期に限度があるなら仕方ないですが、特にないのであれば、このような環境のときには値下げしない方が良いでしょう。
値下げ幅の決め方
値下げ幅の決め方は、「台替えを意識する」、「競合物件に価格を意識する」という点がポイントです。この2点は値下げ幅を決める上では非常に重要になります。少しでも、値下げ幅が大きくならないよう、値下げ幅は慎重に決めましょう。
台替えを意識する
台替えとは、「2,000万円台」や「2,300万円台」など、100万円単位の「台」のことです。マンションの予算を決めるときには、「2,000万円~2,300万円」など、100万円単位である程度レンジを広く考える人が多いです。
そのため、100万円台が変わっていない値下げは、ぱっと見の印象が変わらないので効果が薄くなります。2,098万円で売り出していた物件を、2,048万円で売り出すのか、1,998万円で売り出すのかは、50万円の違いですが大きく印象が変わります。
競合物件に価格を意識する
また上述したように、競合物件と比較して優位性がなければ、値下げしても効果が薄くなってしまいます。競合物件の価格と比較して、「検討者はどう思うか?」という視点も大切です。
たとえば、競合物件に2,498万円の物件があり、自分の物件は2,648万円で売り出していたとします。そして、検討者の声を聞くと、自分の物件はこの競合物件と同じような評価ということが分かりました。
この場合、2,498万円と比べて自分の物件はいくらなら集客できるかという視点で値下げ幅を考えなければいけません。仮に、戦略が「競合物件が終わるまで待てない」のであれば、2,498万円程度まで下げる必要が出てきます。
売却価格を値上げする際の注意点
売り出してから売却価格が安かったことが分かり、値上げしたいケースの解説です。売却価格を値上げする場合には、以下の点に気を付けましょう。
- 値上げする際の手順
- 値上げは相当リスクを伴う
値上げする際の手順
値上げするためには、不動産会社への許可を取る必要があります。なぜなら、不動産会社と交わしている媒介契約書という書面で、売り出し価格は明記してあるからです。つまり、一度契約書で決まった金額を変えるので、不動産会社の許可が必要です。
不動産会社からすれば、売却価格が上がると売れにくくなるので、できれば値上げは避けたいでしょう。しかし、不動産会社が値上げを拒否する場合には、正当な事由を提示する必要があります。
また、もしも不動産会社が売主からの値上げ要望を断れば、売主との関係が悪化して今後の売却活動に支障をきたします。そのため、基本的には売主からの値上げ要望は通ることがほとんどです。
値上げは相当リスクを伴う
値下げのリスクは、「集客が激減する場合がある」、「検討者がいる場合は難しい」という点にあります。
まず、売却価格を上げることで広告に記載している価格が変わります。広告に記載している価格は集客に直結するので、少し価格を上げただけで集客が激減することもあります。
また、検討者がいる場合には、値上げをすると大きなクレームにつながるリスクがあるので、基本的には行いません。何かの違反や違約になるわけではありませんが、道義的にしないということです。
値上げすることはできますが、実は値下げ以上に良く考えて慎重に行う必要があります。
まとめ
マンションの価格を値下げするときは、そもそも「値下げ以外の策は本当にないのか?」を探りましょう。その上で、どうしても値下げする場合は、「台替え」と「競合物件の価格」に注意して値下げ幅を決定します。
また、売却価格の値上げもできますが、値下げ以上に慎重に検討する必要がある点は覚えておきましょう。