賃貸経営1年目で破綻!?収益を得るには税金の知識と計算が必要

相続税対策を目的とした不動産投資に注目が集まっています。転勤・結婚・就学など生活スタイルの変化により、住宅の住み替えを行い非居住用物件の処理に悩むという人も少なくありません。居住用に利用しない住宅の処理方法として「賃貸経営」も選択の一つとされています。賃貸経営では利益を生み出す事ができるかが最も重要でしょう。

新規賃貸経営の負担

不動産投資として賃貸経営を行う場合、利回りという言葉が利用されます。

利回り=満室時の年間家賃収入÷不動産価格

一般的に利回りは10%超えていれば儲かる物件と考えられています。しかし、実際には利回りが高くなると同時にリスクも高くなる傾向があります。注意するポイントは、利回りの算出時に利用しているのが満室時の年間家賃収入ということです。

  • 10,000万円 利回り6.0% 東京都心の好立地で常に満室状態
  • 5,000万円 利回り14.0% 人口流出の激しい地域で入居率4割程度

このように利回りというものは、高ければ良いとは言えません。収入に対する支出の流れ、キャッシュフローを理解し実質的な利益を出す必要性があります。

住み替えによる賃貸経営の負担

ローン借り入れ中のマンションから新規ローン借り入れの住宅に住み替え、マンションを賃貸として貸し出す場合、貸し出しを行う前にマンションの設備点検・改装・修繕・清掃が必要です。また募集を行っても、すぐに入居者が決定する訳ではありません。そのため賃貸経営を行うまでの費用が必要なだけでなく、Wローン、つまりローンの2重返済が大きな負担となります。

相続による賃貸経営の負担

賃貸として利用するまでに、設備点検・改装・修繕・清掃と同時に募集するのは住み替えと同じです。その他に、相続登記費用、相続税が必要となります。また、生前贈与の場合は、不動産所得税が別途かかります。

賃貸物件の購入による賃貸経営の負担

新築で購入した場合は、貸し出しのための準備は特に必要ありません。しかし、中古での購入の場合は築年数に応じた改装・修繕を行いましょう。ローンを組んでいる場合、入居者が決定するまで返済費用は別途準備する必要があります。また、登記費用、抵当権設定費用、不動産取得税、仲介手数料などの費用が大きな負担となります。

賃貸経営を行う場合には、初期費用対策をクリアしないことには始まりません。その後も賃貸経営には継続した必要経費がかかります。

賃貸経営にかかる経費と税金

個人による賃貸経営で家賃の収入を得た際の利益は「不動産所得」となります。不動産所得とは、不動産収入から税金・経費を引いたものです。必要経費は、状況や契約に応じて変化しますが、その違いは大きなものではありません。

  • 支払い金利:ローン借入の金利部分
  • 損害保険料:建物が地震や火災により損害を受けた際に活用できる保険
  • 宣伝広告費:不動産会社に特別な広告活動をしてもらう場合
  • 仲介手数料:入居者を決定してくれた不動産業者に支払う手数料
  • 管理委託費:管理を委託した場合、不動産会社に支払う費用10~15%程度
  • 水道光熱費:水道・電気・ガス料金を家賃に含み募集した場合
  • 修繕費:入居者を募集する前に行う建物・付属設備の修理やリフォーム費用
  • 租税公課:固定資産税・都市計画税、印紙税、法人税、所得税

損害保険料は、入居者にも請求しますが賃貸オーナーが払うものとは別です。賃貸経営の家賃収入から、税金・経費を引いた状態で利益がある場合には確定申告が必要となります。

不動産取得税

贈与・購入・増改築・交換などにより不動産物件を手に入れた場合にかかる税金です。

土地建物の税額=固定資産税評価額×4%

※平成30年3月31日まで、土地・住宅3%、住宅以外の家屋4%、新築・中古(築年数)に応じて評価額より排除が生じます。

不動産の取得から半年前後に納付書が届きます。

東京都のワンルームマンションの一般的価格2500万円の場合

2,500万円(公示価格)×7割=1,750万円(およその固定資産税評価額)

新築の場合、一般的なワンルームが20平方メートルなため、賃貸マンションの場合40平方メートル以上240平方メートル以下という軽減条件の対象となりません。1,750万円×0.03%=52.5万円となり不動産取得税として52.5万円の支払いがあります。マンションをローンで購入している場合、家賃収入で不動産取得税を払う事もできず1年目から破綻の危険性さえ生じます。

固定資産税

建物と土地の所有には、新築・中古・物件の種類を問わず固定資産税が毎年かかります。固定資産税は「固定資産税評価額」×「標準税率1.4%」により算出されます。標準税率は概ね全国共通です。固定資産税評価額は建物の経年劣化により減額を行います。

固定資産税は国土交通省が年に1度、土地の売買取引価格の適正を定めた「地価公示価格」の70%を目安とし都道府県及び市町村が定めます。建物部分は構造によって定められるため、木造建築物であれば単価が安く、コンクリート造であれば単価が高くなるのは、建築費と同様です。

固定資産税額は役所により決定され、申告の有無に関係なく納税通知が届きます。しかし、住宅用地が特例対象であり税金の控除が受けられる場合であっても、申告を行わなければ控除が適用されません。そのため住宅用地の減額特例の対象となるかどうかを調べ、事前に申請を行う必要があります。

  • 小規模住宅用地の場合(200平方メートル以下):1/6に減額
  • 一般住宅用地の場合(200平方メートルを超える部分):1/3に減額
  • 集合住宅の場合(200平方メートル×住宅戸数の面積):1/6に減額

不動産所得の確定申告

1月1日~12月31日までに得た家賃・共益費・礼金・更新料に、返還の必要がないことが確定された敷金・保証金などの収入を不動産所得といいます。それらの収入から経費と税金を引いた金額を課税対象とし、不動産所得額を算出します。

確定申告では収入と支出を記載した書類を作成しなければなりません。経費などの支出を現金で支払った場合、領収書が必要です。生活費などと明確に区別する必要があるため、賃貸経営専用口座を開設し管理を行うと良いでしょう。

確定申告を行う際の所得は、全ての収入を合算したもので申告します。確定申告を行うことによって、給与所得による税額も再度計算することになります。再計算を行うことで損失が出た場合、不動産部分の損益分を給与所得から差し引けます。

税金の放置は人生を狂わせる

税金関係は非常に複雑なために、会計事務所に任せるという人も多いです。会計事務所に任せる場合は、会計事務所への費用も経費となります。また会計事務所に任せたからと言って、損失が利益になる訳ではありません。賃貸経営は長期的な不動産経営であり、健全な経営を行うのは会計事務所ではなく自分自身だからです。

決算書類を中心とした節約・価格などの経営戦略を立てる際に、税務は無視できない項目です。支払い予定の税金を無視して、修繕費用や値引きを行うと後々に大変なことになります。

賃貸経営における税務は、相続税・贈与税・不動産所得税・登録免許税・固定資産税・法人税・所得税と多岐に渡り、どれ一つとして疎かにできません。

納税通知書の納付期限を無視し、支払いを放置していると督促状が届きます。このときに払う意思の提示をおこなわなければ「払う意思なし」と判断されてしまいます。また、支払いを無視することで、不動産・有価証券・給与・年金・敷金など金銭価値のあるものが差し押さえの対象となります。

納付期限を過ぎることで、とても高い利率の延滞金が掛かってきます。また賃貸経営に失敗して自己破産をした場合であっても、税金とその延滞金は免除されることはありません。

まとめ

マイナス金利により不動産投資ブームを迎え、賃貸経営を考える方はとても多いです。しかし安易に賃貸経営が儲かるという考えを持つことは、とても危険です。賃貸物件に手ごろな不動産があるからと気軽な気持ちで賃貸経営を行うのではなく、十分な収支計画を立てることが重要です。

賃貸経営は難しい・自分には向かない・面倒だからと不動産を放置した場合であっても、固定資産税をはじめとするさまざまな費用が毎年かかるため、早い段階での売却をおすすめします。